メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】

□赤に染まる
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いつもの席で
いつもどおりコーヒーを味わうブラックジャック。



「それでね、写楽のヤツったら・・・」
「ふふふ、写楽君らしいじゃない」


すでに定番化している
和登と久美子のおしゃべり。




たしか今日もピノコは写楽と公園にでかけていたなぁ。

写楽のほうが年上だが基本的にピノコが主導権を持っているいつもの二人組で
あれでいいんだろうかとは思っているのだが・・・(おそらく和登も。)

なんだかんだいいながらもピノコに友達ができてよかったもんだ。
私とばかりいたんじゃ退屈だろうから。

帰ってきたらまたあの馬鹿デカイパフェを食うんだろうな・・・。
18歳なら少しは恥じらえ。
とかなんとか考えていると、


バタン!!!

「ちぇんちぇい!!」

ピノコが大慌てで店に入ってきた。

「なんだ?どうし「たしゅけて!!!!」

なにかあったのか?!
ピノコの服は汚れていて左側が擦り切れていて頬からは血がでている。

こいつぁ、こけたとかそういう類の怪我ではないな?

和登も久美子もマスターも慌てている。


「どうしたんだ?!」
「大丈夫ピノコちゃん!!」
「何があったの?!」

するとピノコはいきなり泣き叫びだした

「ウワァァァァン!!亜里沙が死んじゃうよぉ!!」

ただ事ではない。

「どうした!ピノコ。泣いていないで説明しろ!!」

「うぇっ・・・亜里沙が、・・・ヒックっピノコかばってトヤックに轢かえちゃったぁ・・・」

トラックだと?!
重症なのか?!
亜里沙、ってのは確かこの前ピノコを助けてくれた女性だったな。


「すぐ行く」

カバンをひっつかんで店をでる。
既にあたりは騒然としている。

「ちぇんちぇい!こっちなのよさ!早く!!」

ピノコが走る方を追う。

後ろからは和登もついてきているようだ。


事故現場はヒドかった。


トラックが不自然に止まっているところからだいぶ遠くに人だかりができている。
吹っ飛ばされたのだろう。

野次馬をどけ、少女に近づく。

「・・・こいつぁひどいな」

出血が多いうえに骨の一部が肺に突き刺さっている。
おまけに意識はなく虫の息だ。
このままでは死ぬ。

救急車などよんでいる暇がない。


すぐに応急手当をして、抱き上げる。


Tomで場所を借り手術しなければ!
Tomに連れて行き、ピノコに無菌室を作らせる。

「せ、先生!助かるんですかい?!」
マスターが焦って聞いてくる。

「分からん!!だが、助ける!!とりあえず今すぐオペだっ!ここを借りるぞ!!」

「わ、私になにかお手伝いできることはないですか?!」
久美子が聞く。
「熱い湯を洗面器にいれてもってきてくれ!あと、水も!!」


「「はい!」」


クッ、なんとしてでも助けてやる!!
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