鴻門之会

□四面楚歌
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項王の部屋

王「………。」


その中では項王が机に向かって一枚の紙をじっと見ていた


すると

コンコン

ドアをノックする音がした


王「………。」


コンコン

返事が返ってこないためか、もう一度ノックすると今度は一拍置いて声が聞こえた


「……項王様?」


外から聞こえてきたのはのは女の人の声


王「! 何?開けていーよ。」


その声にようやく気がつくと紙を机の引き出しにしまいその声に応える

ガチャとドアが開き、姿を表したのは項王の妻である虞だ


虞「夕食の時間なので呼びに来たんですけど……。」

王「そう、わかった。」


席を立ち部屋を出ようとドアを通ろとした時


王「?」


進もうとする体に少しの抵抗力が加わる

なんだ?と思い力が加わっている部分を見ると服の裾を虞が掴んでいた


王「………ねぇ、夕飯だから呼びにきたんだよね?」

虞「えっ、ああ!ごめんなさい!」


パッと手を離す虞

どうやら、無意識に掴んでいたようだ


王「何?何か用でもあるの?」


その問いに虞は少し迷ってから口を開いた


虞「…いえ、その……何だか項王様が…消えてしまいそうで……。」

その言葉に項王の顔に一瞬曇りが出たように見えたが視線をそらしていた虞には見えず、その表情はすぐに消えた


王「…なにそれ。ほら、くだらない事言ってないで行くよ。」


そう言って項王は虞に手を差し出す


虞「! はい。」


虞はどこか腑に落ちないようだったが、差し出された手に対しては嬉しそうに笑い自分の手を重ねた
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