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□坂を越えて向こう側
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「おはよう黒鳥」
目の前には元気はつらつな笑顔の東海寺くんと
彼の持ち物である自転車
「荷物、カゴに入れるよ?」
そう言ってあたしの荷物を前カゴに入れた東海寺くんと
「さ、行こうか!
乗ってよ黒鳥」
あたしは2人で学校に向かう
夏の生暖かい風が頬を撫でる
今日も暑くなりそうだなと思いつつも
心地よさを感じている自分がいた
彼の白い背中に問いかける
「大変じゃない?」
勿論変わろうかなんて言わないけど
大変だろうなとは思う
後ろに座ってる分には楽だけど
自転車をこの気温で漕ぐのは辛いと思うし
なにしろ人2人分の体重がかかってる訳だから
「全然?」
そう答える東海寺くんは笑っていて
「俺のこと心配してくれてるの?」
なんて訊くから
「調子に乗ってると下りるよ」
「ごめんごめん黒鳥
謝るから下りないでよ」
こんなたわいもない会話をしながら自転車は着実に学校へと近付いていく
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