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□“愛されたい”から
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無条件に彼に愛されてるあの子が羨ましい
私もあんな風に彼に愛されたいの
だけどいくら頑張っても私はあの子にはなれない
それが分かってるから一層惨めになるの―――








「ねぇ今度家にいってもいい?」


「あのなぁ美珠亜……」


「いいよね?」


「……分かったよ」


「ホント!?嬉しい!」



彼は優しい
そんな事は身を持って知っている
そしてその優しさがあの子に対して空回りしているのも知っている


私はそれを残念だと思うけれどそれ以上に嬉しく思ってしまう
東海寺くんの良いところを知っているのは私だけで充分だわ





あの子よりも東海寺くんと一緒にいた時間は長い自信はある
小さい頃から遊んでたんだもの
あの子の知らない東海寺くんだってたくさん知ってる




だけど足りないの
まだ私の知らない東海寺くんがいる
それが悔しくて少し強引な手段に出ることもあるんだけど
結局それには意味がないことが多い




あの子の前での東海寺くんを知りたいと思うけれど
その彼を見ることが出来るのは世界でたった1人だけ
あの子だけだと知ってはいるけれど






――その1人になりたいと思うのは罪かしら





だからこそあの子には分かってもらいたいの
“愛されたい”って気持ちがどんなものなのか
無条件に愛されているあの子はきっと感じたことがないでしょう?




じゃないと東海寺くんも私も報われないから



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