short

□準備は出来た
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『どうして?』と君が問う



僕は「君を愛しているからさ」と答えた





『なら何で……?』



僕の口が答えを紡ぐ前に
君は意識を失った










目を覚ました君が僕の部屋で問う



「ここはどこなの」



「どこって僕が魔法で作り出した空間さ」



冷静に考えればそんなはずないと気付くのだろうけど
多分彼女にはそこまでの思考力は残されていない



「魔法って……桃花ちゃんはどうしたのよ!?」



桃花…か
僕は何だか無性に笑いたい気分になってきた



「残念だけど

君を助けに来るような奴はもういないよ」



――僕がこの手で消し去ったからね




そうささやくと彼女の顔色は目に見えて悪くなって
絶望に包まれた彼女ですら愛おしく思える自分はつくづく、


狂ってると思う




「そんな、ギュービッド様っ!!
ギュービッドさまぁっ!!」



無駄だよそんな事しても
その名を呼んでも彼女は君を助けになんて来れないんだから




「言っただろう?
君を助けようとする全てを消し去ったんだよ僕は



例えその能力がない奴でも…ね」



まさかと小さく呟いた君は一体誰を想像したのだろう?




「大変だったよ
君の存在を知る人の記憶を書き換えるのも
君を愛する奴らを消すのも」



きっとその中には君が愛した彼もいるのだろうね

そう言ってにっこり僕は微笑んだ



「――何で消したんですか?
そんな必要無かったじゃない」



涙を流す君は、誰を思ってるんだい?





「僕が君を愛しているからさ」



君が他の男に愛されてるのも、他の男を愛すのも許せないくらいに
それこそ君をここに閉じ込めるくらいに……ね



「大丈夫安心してよ」




僕は永遠を誓うから




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