short

□信じるしか出来ない
1ページ/2ページ




夢うつつに思い出すのは
短くも鮮やかな日々
仮初めだと分かっていたのに
あたしの利益のために近付いたのに


あたしはあなたを愛してしまったの





正直虐められるのは覚悟の上だった
人間は新しいものを排除しようとする
それが自然なのだと分かっていたから


だからあたしは思っても無かったの
隣の席になった少しエロそうな野球少年があたしを庇ってくれるなんて
あたしは一ヶ月で居なくなると担任から言われてたのに
一年間付き合っていかなければいけないクラスメートよりもあたしを選んでくれた
そのことが堪らなく嬉しくて


その時にはその少年を生贄にするつもりだったんだけど
あたしにはそれがひどくツラく思えて






皮肉にもその気持ちに気がついたのは黒鳥千代子によってあたしの計画が邪魔されたとき


計画が潰れたことを恨めしく思いながらも


あの少年……小島くんを生贄にせずに済んだことにホッとした




気付いたときにはもう遅くて
一目会いたくてしりとり魔法に便乗しただけなのに




もう、二度と会えないなんて





――会いたい一目みたい
あたしのこと忘れていたとしても
どうしても小島くんに会いたいのに






ああ、どうして
あたしは死霊で小島くんは人間なんだろう
せめてあたしが黒魔女ならばあの愛の黒魔女のように喜んであなたのそばにいるのに
今のあたしにはそれすら出来ない


ただ一つできるのは




奇跡の起きる瞬間を信じる事だけ




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ