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□信じるしか出来ない
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夢うつつに思い出すのは
短くも鮮やかな日々
仮初めだと分かっていたのに
あたしの利益のために近付いたのに
あたしはあなたを愛してしまったの
正直虐められるのは覚悟の上だった
人間は新しいものを排除しようとする
それが自然なのだと分かっていたから
だからあたしは思っても無かったの
隣の席になった少しエロそうな野球少年があたしを庇ってくれるなんて
あたしは一ヶ月で居なくなると担任から言われてたのに
一年間付き合っていかなければいけないクラスメートよりもあたしを選んでくれた
そのことが堪らなく嬉しくて
その時にはその少年を生贄にするつもりだったんだけど
あたしにはそれがひどくツラく思えて
皮肉にもその気持ちに気がついたのは黒鳥千代子によってあたしの計画が邪魔されたとき
計画が潰れたことを恨めしく思いながらも
あの少年……小島くんを生贄にせずに済んだことにホッとした
気付いたときにはもう遅くて
一目会いたくてしりとり魔法に便乗しただけなのに
もう、二度と会えないなんて
――会いたい一目みたい
あたしのこと忘れていたとしても
どうしても小島くんに会いたいのに
ああ、どうして
あたしは死霊で小島くんは人間なんだろう
せめてあたしが黒魔女ならばあの愛の黒魔女のように喜んであなたのそばにいるのに
今のあたしにはそれすら出来ない
ただ一つできるのは
奇跡の起きる瞬間を信じる事だけ
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