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□花は盛りに
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ただただ静かに
ゆっくりと少しずつ
あなたへの思いは募っていくのです




「楠木さん」



お昼休み飼育小屋横の花壇に
お水をやりにきていたあたしはその声に少し驚く



「やっぱりここにいたんですね」



「……やっぱりって?」



「教室にいなかったのでここかなって思いました」



当たりましたねと古島くんは笑う
その顔はなんというかその、
男の子にこんなこと言ったら失礼だなとは思うけど

可愛いなと思う



「……古島くんもお水やりに来たの?」



「はい
何だか今日は花壇のお花が気になったんです」



――うん、やっぱり
古島くんとは気が合いそうだな
と今更ながら再確認

気が合うって素敵なことよね?
もちろんクラスメイトとして気が合うのはスゴくいいことだと思うし


好きな人と気が合うのって、何となく幸せよね





そう考えると何だか恥ずかしくなってきちゃって
せっかく、古島くんとお話出来ているのに逃げ出したい気分になってきた




「どうかしましたか楠木さん?」



あたしのそんな感情なんて知る由もない古島くんがあたしの顔を覗き見る
……ダメだどうしよう


顔が、熱い



「……何もないよ」



「そうですか
顔が赤いから熱でもあるのかと思いました」





……バレてたんだ
恥ずかしい



.
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