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□手を広げて君を待つよ
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「黒鳥さん、」



目の前には大形くん
何故か手を広げてこちらを見ている



「どうしたんですかいきなり」



「黒鳥さんのためだねぇ」


「僕は黒鳥さんの願いは叶えてあげたいんだねぇ」



そう言って微笑む大形くんは可愛らしいのだけど
あたしには気になることが




「あたしの為ってどういうこと?」



「言葉通りの意味だねぇ」


「さ、黒鳥さんおいでだねぇ」




その言葉でようやく大形くんが何がしたいのか分かったんだけど




「……それって大形くんがしたいだけじゃないの?」



「まあそれもあるけどねぇ」


「もしかして、黒鳥さん嫌なのかねぇ?」




じっとあたしを見つめる大形くん
ずっと微笑んだままなのが何だか悔しい
あたしの考えなんてお見通しって感じがするから




「………そんな言い方はズルいと思います」



一言そう言って
彼の広げた腕の中へと飛び込んだ






ふわっと香るいい匂い
多分シャンプーの匂いだと思うんだけどなんだか落ち着くいい香り
自分とは違う体温に包まれて、だけど何となく安心する




「黒鳥さんは素直じゃないんだねぇ」



その言葉には苦笑い

確かに今あたしは大形くんの腕の中にいることで安心してる
ホントはずっとこうしていたいのかも知れない



「だから僕が黒鳥さんのために、」






君の望みを
先回りで叶えてあげようか





(それはありがたいんですけど…)



(けど、なんだねぇ?)



(たまにはあたしにもいわせてくださいね)








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