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□それでも過去はかわらない
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ああなんて罪深い
なんでわたしはあんなことができたのかしら



きっとわたしはその罪を一生背負い続けなければならないのね








今わたしがお世話になっているモリカワは第一小のすぐ近くにある
当然学校に来る小学生や家に帰ってゆく小学生を毎日見ることになる



確かにそれをみて微笑ましくなることもあるわ
チョコちゃんとチョコちゃんの事が好きな2人の男の子の会話は何だか思わず笑っちゃうくらい
まだまだ幼い発達途上の彼らにも彼らの世界があるのねと1人納得してみる



だけど、彼らを見ていると
どうしようもない罪悪感に襲われるの


過去の愚かなわたしが仕出かした取り返しの付かない過ち
ギュービッドはあたしが謝ったとき笑って許してくれたけど
きっとわたしは許されてはならないのよ




物思いに耽っていると店の方が騒がしくなってきた
慌てて森川を探すけどどうやら出かけてるみたいで
仕方なくわたしがレジに立つことにした







―――嘘、なんで?



店内に居たのは体操着姿の男女2人組
半袖短パンな男の子の方はみたこと無いけど
女の子の方は見覚えがある




「―――鈴風さん……」



思わず漏れた声に女の子は目を見開く



「お姉さんなんであたしの名前知ってるんだ?」



「何言ってるんだ鈴風さん!!
体操着に名前書いてるじゃないか!」



「そうだったな日向くん!!
あたしとしたことがついうっかりしてたよ」



そういって豪快に笑うこの子は
間違いなくわたしが出世のために利用した、鈴風さやかちゃん
ギュービッドが契約妨害呪文を唱えなければ
あの運動会の日魂を抜き取られてしまうかもしれなかったあの子が
今、わたしの目の前で
普通に話して普通に買い物をして



日向くんと呼ばれていた男の子を見る眼差しは優しくて





「……ッごめんなさい」





わたしが鈴風さんから奪おうとした物は
こんなにも優しくて温かな物だったと思うと謝らずにはいられなかった




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