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□それでも過去はかわらない
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驚いたようにわたしを見る2人



「お姉さんどうしたんだ!?
急に謝ったりして」



そうね当然の疑問よね
男の子の方は無関係だし鈴風さんはきっとあの後忘却魔法をかけられて何もかも忘れてるわ
むしろ謝ったことで記憶を取り戻して傷付くかもしれないわ



「……あなた達を見てたら、ついね」



理由になってない答えを返して2人に微笑みかける
2人の姿は見ていて微笑ましいのだけど
それが一層わたしを責め立てるなんて知らなくていいことなのよ




「お姉さんもしかして、謝りたい人がいるの?」




謝りたい人、ねぇ……
鈴風さんに謝りたいという気持ちも勿論あるのだけど
目の前の少女以外にとなるともう1人




「1人いるわ」



けどその人は決してわたしを許してくれないわ
その人に恨まれて当然のことをしたと思ってるもの



そう付け加えたのは殆ど無意識
この子たちにそれを伝えた所で何の意味もないと分かってるの




「お姉さん、」



まだ発達途上の小さな体でわたしを見上げる少女の顔が真剣で驚いた



「相手がどこの誰だか知らないけれど、」



――いいえあなた、いやあなた達はその人をよく知ってるわ
あなたのクラスメイトだもの





「謝ってみなきゃ、許してくれるかなんて分かんないよ?」




そう言って年相応なはじける笑顔をわたしに向けた鈴風さんはきっとキレイな心の持ち主なのね




「………そうね、ありがとう」



きっと問題は彼女が思っている以上に深刻さを帯びている
大人になると謝るだけではどうにもならないこともあると学ぶでしょうけども




あなたがよく知るクラスメイトが
人形とお喋りするようになったのは紛れもなくわたしのせいなのを知ったら
この子たちはどうするのでしょうね





なにもしらない少女はわたしを責め立てるなんてしなかった




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