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□あなたの心が知りたいのです
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「黒鳥、」




彼があたしを真っ直ぐ見る
いつもでは考えられない麻倉くんに自然と胸は高鳴る
あたしを見るだけで照れちゃうのも悪くはないけど
やっぱり女の子的にはあたしだけをみててほしいもの



――あたしにそんな女の子らしい感情があったなんて全く知らなかった


それもこれも全部、麻倉くんのせいだよ




「何で、速水と仲良さそうに話してたんだ?」




その言葉の裏に見え隠れする麻倉くんの感情が嬉しくて



麻倉くんのその感情を見たいからだと答えたら
きっと麻倉くんはビックリしちゃうよね





「なぁ黒鳥
黒鳥は俺の事好き、だよな……?」



そんな泣きそうな顔しないで
麻倉くんはそれほどあたしの事好きなんだって実感しちゃうから


今だって麻倉くんにそんな顔させてしまった罪悪感より
麻倉くんに愛されてる喜びの方が上なんだから





「……あたしには麻倉くんだけだよ」



あたしをこんな気持ちにさせるのも
今までのあたしを変えてしまったのも全部



「………ごめんね」



そう言わずにはいられなかった
麻倉くんを試すような真似をして麻倉くんを傷つけて


そうすることでしか麻倉くんの気持ちを確認する事が出来ないあたしは、最低な人間だ





「泣くなよ黒鳥」



そう言ってあたしを抱き締める麻倉くんからはさっきの表情は消え去っていて
今の彼は滅多には見られないような優しい笑顔を浮かべている



「俺は黒鳥が好きだから」



だから、別に構わない



そう続けた彼はもしかして全てを知っているのかもしれない






いつだって心は君だけの物




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