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□結末はやっぱり
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職員室前の廊下を歩いているといきなり担任に声をかけられた
呼ばれるがままに中にはいると



「……日向くん?」



担任が座っている机のそばで立っている日向くん
いやこの場合立たされてるって方が正しいかもしれない



「日向お前なんで呼ばれたか分かってるか?」



「何でですか!?」



それを聞いた担任はため息をついてうなだれた



というかあたしでも理由に察しはつく
ついこの間期末試験が終わって、後は夏休みを待つだけなこの時期
加えて日向くんの小学校の時の成績を考えれば




「日向なんだこの点数は!?」



――まあそういう事だよな



「先生っ!!これでも俺点数あがったんです」



「数学が9点から13点に上がったくらいで喜ぶな!
お前高校なら赤点だぞ!!」




うわ、ヒドいとは思ってたけどそこまでだったんだ
ていうか数学13点って……逆にどうやったら取れるんだろう



「ガッツ!!大丈夫だ先生っ!!
気合いで何とかなるさ!」



「全然何ともなってないから
お前はいまここにいるんだぞ」



とうとう担任は遠い目をし始めた
この人もなかなかの苦労人だ



「先生、あたしには何の用ですか?」



少なくとも成績の話じゃないとおもうけど
心当たりが無さ過ぎる



「おぉ、そうだそうだ」



………忘れかけられてたことにはこの際目をつぶろう



「鈴風お前日向と仲いいだろ?」



その言葉にはあまり素直には頷けない
確かに仲は悪くない
だけど多分担任が思っているような関係性でもない





「頼む
日向に勉強おしえてやってくれ」




「……あたしが、ですか」



「すまん鈴風
無理を言ってるのは分かっている

だけど日向の友達って……
全員コイツみたいな奴だろ?」



――悲しいことに否定は出来ない
担任はかなりオブラートに包んで言ったけど
要するに日向くんの友達はいわゆるスポーツバカという人たちで
あたしはこの時ほど類は友を呼ぶって言葉を実感したことはない




「鈴風はその点、ちゃんとテストも出来てるしな」



そりゃ数学13点よりは上ですとも
昔から勉強は苦手では無かったし
だけどこの流れはマズい



「頭いい人なら他にもいるじゃないですか
速水くんとか、」



――まあ絶対引き受けないと思うけどさ



「……速水は速水で問題ありすぎるんだ
察してくれ」



――ですよね………
自分で言っててあり得ないと思ったもん



「頼む鈴風、おまえだけが頼りなんだ!」





そんな風に言われたら断れない性格の自分が憎い



「分かりましたよ」



――ホントに、どうしようか



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