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□愛しのあの子をつれもどせ
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高校生設定
「いいかい麻倉、東海寺」
「ああ、いつでもOKだ」
「…………ああ」
明るい内装のちょっとお高めなレストラン
その利用客は男女カップルもしくは社会人が多い中
男子高校生である麻倉、大形、東海寺の三人はひどく周りから浮いていた
そのうちの一人、大形京はまるで少女漫画から飛び出したかのような容姿をしているため
三人は主に女性客からの注目を浴びていたのだがそんな事は気にもせず三人の視線はある一点に注がれていた
「……黒鳥、大丈夫かな」
「大丈夫だって
あいつそんな社交的なタイプじゃないし」
「いや分かんないけどさ
社交的な女の子がモテるとも限らないじゃん」
「まあ普通は話してて面白い子がモテるんじゃないかな?」
何を隠そうこの三人
ある一人の少女、黒鳥千代子を愛してやまないのである
勿論ながらそんな三人が仲がいい筈もなく
特に麻倉と東海寺なんて会えば必ず喧嘩になるのだが
そんな三人がこうして一つのテーブルでこそこそしているのには訳がある
「チョコーっ!合コン行こうよ」
全ては紫苑メグの一言から始まった
「え、あたしですか」
「当たり前じゃん!!」
「いやいいよあたしは
男の子に興味ないし」
華の女子高生にしては些か枯れている千代子は当然拒否する
行かないでくれるのは嬉しいけど男の子に興味ないしっていうのはキツいなと近くで会話を聞いていた東海寺が思っていると
「チョコが男の子に興味ないのはアイツラがしつこく言い寄ってくるからでしょ?」
「………」
えっ、そうなの俺たちのせいなの!?
てか黒鳥もそこで黙らないでよ!
「出会いよ出会い!
もしかしたら運命の王子様に出会えるかもしれないじゃない」
「メグ、運命の王子様って……」
呆れた顔で聞いている千代子だったが次の言葉で表情が変わった
「場所は新しく出来たレストランなんだけどぉ
相手が全部奢ってくれるって!」
「奢ってくれるって……本当ですか」
「ちょっ!待ってよ黒鳥
行く気なの!?」
マズい!黒鳥が思わぬところで食いついた!
そう感じた東海寺は慌てて会話に割り込んだのだが
「チョコ行こうよ!
気にいる男の子が居なかったらご飯だけ食べて帰ればいいんだからさぁ
東海寺なんかじゃ自分の分も払えないわよ」
「……行くだけ行ってみる」
東海寺は心に深い傷をおった上に千代子は合コンに行くことになってしまったのである
てゆうか俺んちの経済状況持ち出すのは卑怯だよ!と
東海寺は後に涙目で語った
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