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□この想いはきっと
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今日もまた夢を見た


最近見る夢は全て同じ夢
夢の中の俺はなにかに縋りついていて
そんなにも追わなくてもいいじゃないかと後にはいつも思うのだけど
きっと夢の中の俺にとってはものすごく大切なものなんだと思う



具体的な内容はいつも思い出せないけれど
起きたときに頬を伝う涙が何よりの証拠だろう









教室に入ると自分に視線が突き刺さるのを感じる


――そりゃそうだよな、
1ヶ月学校休んでたんだし



四月の頭から山に修行に行っていた俺にとっては
今日がこのクラスになって初めて学校に来た日だ
周りをみると見知った顔もちらほら見える




「東海寺くんはあそこの席ですよ」



男子学級委員である出雲に教えられて座った席は教卓ど真ん前で
うわ、ツイてないと思いながらもきっと余った席を押し付けられたんだろうなと思う


それ自体に文句はない
俺だってそうしてたと思うし
(一年間この席のままだと知ったときには絶望こそしたけど)



むしろまだ登校してきてないのだろう隣人の向こう側の席に麻倉が座っていて
今の自分の席よりもアイツと同じクラスだということの方が衝撃的だった





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