連作

□それはそうなんですが
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「黒鳥っ!迎えに来たよ」



東海寺くんに対して自爆したあの日以来、東海寺くんは毎日あたしを迎えに来る



最初のほうはみんなざわめいていたんだけど
日向くんが(無神経にも)、とうとうお前ら付き合いだしたのかと聞いたときに東海寺くんが


“いや、俺の片思いだよ”


と満面の笑みで答えて以来それもなくなった





「一緒に帰るよね?」



わざわざ教室に迎えにまで来てそういうこと聞かないでほしいです
ここまでされて断るのは難しいです



「……なんでそんなこと聞くんですか」



それともなに?
あたしに“一緒に帰りたいです”って言わせたいんですか?



「確認だよ一応!
もう黒鳥ったら可愛いなぁ」



今の受け答えのどこが可愛かったんだろ
我ながらちょっと可愛くなかったなと思ったんだけど
東海寺くんのツボはよく分かりません








帰り道



「でさ、黒鳥っ」



東海寺くんは今日あったことを話してくれる
その会話の中に小学生のころのような“陰陽道”とか“霊能力”とかいう単語が出てくることはない
多分あたしに気を遣って会話を選んでくれているんだと思う
東海寺くんも大人になったなと思うけど何だか寂しい



あたしは東海寺くんがそういうことを話しているときのキラキラした顔、結構好きだから
まあそんなことは絶対口が割けても言えないけどね






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