連作

□それはそうなんですが
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東海寺くんの隣で彼の話を聞きながら歩いていると




「よぉ!久しぶりだなっ」



後ろから聞き覚えのある声がして振り返ると大谷くんがこちらに向かって手を振っているのが見えた
大谷くんは野球でスカウトされ有名私立中学校にいったから
ほんとに会うのは久しぶりだ



「大谷、元気そうだな」



「いや今テスト期間中でさ部活ないから体力有り余っちゃってな」



「俺部活入ってないからそういうの羨ましいよ」



「悪いけど東海寺がスポーツやってるとこ想像つかねぇよ」



大谷はそういって笑った後
あたしに視線を移した



「ていうかお前ら付き合いだしたのか」



小学生の頃メグのスカートを覗こうとしてたときのようなニヤニヤ顔で大谷くんが聞いてくる



「いや、「いいじゃんお前ら、お似合いだよ!」」



「それがな「良かったなぁ東海寺!お前ずっと好きだったもんなぁ」」



「じゃなく「黒鳥に捨てられないように頑張れよな」」




うわ、大谷くん見事に話聞いてない………
ここまでほとんど一人で喋ってる
ていうか答え聞かないなら質問の意味ないだろっ!




じゃーなと言って去っていった大谷くんはきっと空気が読めないんだろうな







「ねぇ黒鳥」



大谷くんがいなくなった後しばらく続いていた沈黙を破って東海寺くんは言った



「なんでさっき否定しなかったの?」



「何でって……否定する暇無かったじゃないですか」



「まあそれはそうだけどさ
黒鳥最初から否定する気無かったよね?」



確かに否定しようと思えばいつだって否定できた
大谷くんに出会った瞬間に“これは違うんです”って言うことだって出来た
あたしは確かに否定する気なんて無かった




「……あそこで否定してもきっと信じてもらえなかったよ」



「それにしてもなんで……」



そんなの、
決まってるじゃない





「なんで気付いてくれないんですか」





あたし嬉しかったんだよ
東海寺くんとそういう風に見られるの

もちろん勘違いされるのはイヤだし死ぬほど恥ずかしいけど
それでも良かったのは
東海寺くんだからなんだよ





「ねぇもしかして黒鳥、」




早く早く気付いてよ








「前髪きった?」





「……………」




うん確かに前髪は昨日の晩切ったよ
気付いてくれたのは嬉しいよ
でもさ




話の流れを考えて!!



今その話する訳ないじゃないですか




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