連作

□本当に理解できません
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「黒鳥ーっ!!………あれ?」



誰もいない教室に東海寺くんが勢いよく飛び込んできた



「黒鳥いないの?」



姿の見えないあたしを探してか辺りをうろうろする東海寺くん

ギュービッド様の考えというのは“透明魔法”を使って東海寺くんの本心を調べるというもので
正直勿体ぶるほどのことでは無かったけど取りあえず今日実行はしてみることになったんだけど



本気で探してくれてる東海寺くんに早くも罪悪感です




「カバンあるし、帰ってくるよな」



自分を納得させるかのように呟いた東海寺くんはあたしの隣の席に座る


――別にあたしの席に座ってくれててもいいのに
変なところで律儀だな………



イスに座った東海寺くんはずっとあたしの席を眺めながらニコニコしていて
なんだか恥ずかしいんだけどこの光景が懐かしくも思えた

小学生の頃はこんな感じで毎日過ごしてたんだなと改めて考えると無性に恥ずかしい



「俺、来年は黒鳥と一緒なクラスがいいなぁ」



もちろん席は隣だよと付け足した東海寺くんに“あたしもだよ”と言えないこの状況がもどかしい
目の前にいて、ホントならその暖かい眼差しはあたしに向けられていたはずなのに





――やっぱり魔法、解いてもらおう
こんなのは、おかしいよ




校舎の中に隠れていると言ってたギュービッド様を探そうとしてその場を離れようとしたその時
ふいに、東海寺くんの表情が曇った



いつも元気が溢れている表情の東海寺くんのそんな顔見たことなくて
あたしは何だか嫌な胸騒ぎがして足を止めた






「ねぇ、黒鳥」





誰もいない空間なのに
どうして東海寺くんはそんなにも








「俺の事嫌いにならないで」






その理由も、何もかも


どうしてそんなにも悲しい顔をしているんですか?





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