short2

□この瞬間に始まった
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「はい」




朝教室に入るなり宮瀬に渡された小さなラッピングされた袋




「東海寺くん今日お誕生日だよね?
あげるよ」


「ありがとう宮瀬さん
これ獅子村にもあげるの?」


「そうだよ
あれ、でも何でわかったの?」


「宮瀬さんがお菓子作るなんて珍しいからね
煮物なら納得できるんだけど」


「そうなの
昨日杏ちゃんに作り方教えてもらって初めて作ったのよ」


「桜田かぁ
それなら美味いんだろうね」


「気に入ってくれるかなぁ?」


「大丈夫だよ
宮瀬さんが一生懸命作ったものなら何でも気に入るよ」


「ありがとう東海寺くん」


「いやこちらこそだよ」



そんな話をしていると
愛しのあの子が教室に入ってきた



「………」


「あ、おはよう黒鳥!」


「チョコちゃんおはようっ」










「っ……!!


東海寺くんのばかっ!!」







「えっ!?」



突然彼女の口から出てきた言葉に俺は驚きを隠せない
どうしたんだよと聞く前に彼女は教室から飛び出てしまった

ふと宮瀬の顔を見ると何故かニコニコしていて




「チョコちゃんったら可愛いわね」



なんて言ってるから
つい俺は宮瀬に尋ねた



「俺今なんかしたかな!?」





“今”をつけたのはいつも何かをやらかしている自覚はあるから





「そうね

きっとチョコちゃんあたしたちを見て誤解しちゃったのね」





――誤解?






「ほら東海寺くんまだ手にプレゼント持ってるじゃない」



「明らかに女の子からのプレゼント持ってて
しかもあたしたちの会話を途中から聞いちゃってたとしたら

あたしが東海寺くんにわざわざプレゼントを渡して
それをもらって東海寺くんも満更じゃないんだって思ったんだと思うわ」


正確には違うんだけどねと宮瀬は微笑んだ


「それで、行かないの?東海寺くん」



「……勿論行くよ」



「じゃあ先生には言い訳しとくわね
あたしも誤解の大きな原因だと思うしね」




そう言った宮瀬にとりあえず後を任せて
俺は黒鳥を探し始めた



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