short2
□この瞬間に始まった
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黒鳥を探すために校舎を走りながら考える
――宮瀬が言うことがもし本当なら
それってつまりいわゆるあの……
いやいや期待するのはまだ早い
何年もあの子に片思いしてきていやというほど思い知った
期待してそれが裏切られることほどショックなこともまあなかなかないだろう
それに宮瀬が間違ってる可能性もあるんだし
「おー東海寺
どこ行くんだよSHR始まるぞー」
「まぁちょっとなー」
そんな受け答えをしながら周りを見渡していると
ふと見つけた見覚えのある姿
彼女は中庭にある樹の陰に座り込んで膝に顔を埋めているようにみえる
もしかして
俺の勘違いじゃなければ
黒鳥、泣いてる?
そう思うといてもたってもいられなくなって
俺は鳴りだした本鈴をよそに階段を駆け下りた
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