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□救済待ちの繊細ガール
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「……何言われたの?」



あたしのあれだけの言葉でここまで核心に迫れるなんて東海寺くんも大人になったんだなと思う
あの人もそれくらい大人だったらいいのに



「事実を言われただけです」




そう彼女が言ったことは紛れもない真実



あたしがオカルトオタクなのも
クラスの誰とも友人関係を持とうとしてないのも
アタックされていても応える素振りすらみせないことも



前々からあたしの事が気に食わなかったんだろう




『黒鳥さん邪魔なのよ』



言い回しを変えて今日の球技大会に際して散々そう言われた
あたしが運動音痴だっていうのも彼女の感情を逆なでした原因なのかもしれない



あたしだってバカじゃない
自分のためクラスのためにせめて球技大会に参加しないという選択肢を選んだんだ



さて、隣に座る彼はどうするんだろうか
あたしをやはり見逃さずにクラスの輪へと連れ出すのだろうか




「じゃあ、俺もサボろっかな」



「え!?ダメだよ東海寺くん」



「何で?」




なんでって………



「東海寺くんがいないとみんな困るじゃない」



「別に困らないと思うけどな」



その顔は知ってる顔だ
自分のクラスでの立ち位置ぐらい分かってる筈じゃない





「それに俺は



黒鳥を弾くようなクラスになんて必要性を感じないよ」




――なんて馬鹿なんだろう
どうしてそこまで言い切れるの?
あたしになんてそんな価値ないじゃない




でも一番バカなのは




「…………っ」




彼の言葉に救われた気がしたあたしなのだと思う




今だけあなたに救われたいの




(後少しだけだから)



(だから今だけは側にいて)






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