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□君限定騎士
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貴女のために尽くしましょう
貴女がそれを望むならどんな事だってやってのけましょう
僕のこの思いなど伝わらなくても良いのです
そうすることで貴女の笑顔が見られるのなら






「……前から思ってたんだがな」



「なんでしょうか与那国くん」



「お前虚しくないのか?」



その言葉には胸が詰まる思いがします
さすが与那国くんです
人が気にしていることを見事に指摘してしまいましたね



「……そうですね
虚しくないといえば嘘になります」



「だったら何故やめない」



やめる?
いったい何を何故やめなければいけないのですか



「少なくともお前が一路に尽くすのをやめたら今の関係は変わるぞ」



与那国くんの言葉はいつも的確です
でも、今回僕にとっては少しばかりずれていると思います




「……僕はきっと
そんな関係は望んでないんだと思います」



今に至るまでもう何度もその選択肢について考えました
未だにどうすればいいのか分かってないのだと思います


だけど考える度に確かだと思うのは
言葉通り貴女が居なければなにもできないくらい
僕は貴女に溺れているということです


盲目的だという自覚はあります
貴女の僕に対する信頼と僕の貴女に対する思いをもし天秤にかけるとすれば
一瞬で結果は出るでしょうね



僕は貴女の隣に相応しい男性が現れたときには潔く身をひく覚悟だって出来ているのです




「……お前は十分いい男だよ」



「ありがとうございます与那国くん」



「他の恋を探すのじゃダメなのか」



それも何度も考えました
僕が抱くこの思いはきっと貴女にとって迷惑だろうと
貴女を困らせたくはない僕は
貴女を忘れようとしたこともありました



ですが―――




「無理なんです
僕にとって護るべき女性はあの人だけですから」



重苦しいのは重々承知しています
だけどどうしても忘れることなどできないのです



貴女に出会って貴女に尽くすのを決心したあの日以来
僕のこの恋心は貴女にだけ向かっているのです
僕の中での第一位はいつだって貴女の存在なのです




「お前変わってるわ」



そういいながらも何かと僕を案じてくれる与那国くんは優しい人です
僕は彼に何かを返せているでしょうか?



「まあ僕も変人クラスの端くれでしたから
変わってるのは当然ですよ」








君限定の騎士でいたい
(王子様になりたいなんて望まないから)




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