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□君との距離に息を呑む
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暦の上ではもう秋だけどまだまだ暑さは落ち着かない
天気予報では今日の気温は30℃を大きく上回ると言っていた


だけど俺が今感じている暑さは決して気温だけのせいではない
その証拠に熱があるんじゃないかと思うくらい暑いのは俺の体の右半分な訳で



俺が感じている暑さの原因である彼女はひたすら無言で俺の隣を歩いていて
いったいどうしてこうなっているのだろうと頭を抱えたくなる



何を思ったのか黒鳥は放課後俺の教室まで来て『一緒に帰りませんか?』と微笑んだ
当然俺は即座に頷き、少しでも長くふたりで居たいがために迎えに来ていた若い衆たちを追い返したのだが



端的に言うと俺は自分がこんなにも情けない男だとは知らなかったのである
いざふたりになると緊張し過ぎて何も言えなくなるだなんて思ってもみなかった



愛しい彼女はすぐとなりにいるのに
ひたすら無言を貫くことしかできない自分が憎い




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