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□君を愛す強さが欲しい
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囚われているんだ、もうずっと前から
僕の気持ちも行動も


どうすればいいのだろう
どうしたらよかったのだろう
僕は自問自答してはその答えを見つけられずにいる




「でね、その後ギュービッド様がね」



憤慨しながらも心底許せないなんて思ってないだろう彼女の横顔をじっと見つめる
今はまだ、黒鳥さんは気付かないけどいつか気付いてくれたらななんて願いを込めて
特別整っているわけでもない彼女の横顔はそれでも僕の気持ちを惹きつけるには充分すぎる



「ヒドくないですか!?」



不意に黒鳥さんが同意を求めてこちらに向いたものだから
僕と黒鳥さんの目がばっちりと合ってしまった
それは苦痛でもなんでもないのに僕は目を逸らしたい願望に駆られる



「大形くん?」



不思議そうに僕の顔を見やる黒鳥さんの瞳からは、この僕のことを心配するような気持ちが伝わってくる



「何でもないんだねぇ」

「気にせずどうぞ、だねぇ」



だから僕に君の優しさを向けないで
僕のしてきたことがどれほど黒鳥さんに相応しくないのか思い知らされるから



僕のこの気持ちすらも、すべて否定したくなるんだ



「………大形くんは、考え過ぎですよ」



呟かれた言葉に、僕の気持ちが読まれたのかという錯覚に陥る
そうでもないなら僕はそんなにも思いつめた顔をしているのだろうか?



「だいたい、あたしも大形くんも小学生ですよ?
いちいちいろんな事気にしてても始まりませんよ」



そうだね、僕はまだ幼いよ
だけどもう手遅れなんだ
僕のしたことは魔界を揺るがすようなことで
その責任は魔法使いとしての僕にあるんだ


知ってるだろ?
僕の魔力の強さも、その強さ故に年なんて言い訳にならないことも


だけどそれでも僕は黒鳥さんに溺れてるよ
黒鳥さんは優しいから、その優しさに甘えたい時もあるんだ
すべてを気にせずただ黒鳥さんだけの事を考えていいなら、どれほど楽だろうね




――すべてを忘れて君を愛すか、
すべてを抱えたまま生きていくのか、



どちらを選ぶにも僕には強さが足りなかった



きっと忘れることも、強さの証で



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