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□お日様を独り占め
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日向くんってお日様みたいな人だと思う
いつだって光り輝いていて暖かい人だから


もちろん彼の“太陽”って名前からしてそう思うだけかもしれないけど
少なくともあたしにとっては日向くんは紛れもなくお日様みたいな存在だ



2人きりになった時に日頃から思っていることをそうやって口に出して日向くんに伝えてみる
日向くんはどういう反応をみせるのか少し楽しみにしながら




「………鈴風さん、それはズルいぞ」



あれ?思ってたのと違うな
てっきり日向くんならありがとうって微笑んでくれると思ったのに、
何故かそっぽを向いてしまった日向くん



――もしかして怒らせるようなこと言っちゃったか?



だとしたら謝らなきゃ
あたしぜんぜんそんなつもりなかったんだから




「……これ以上好きにさせてどうする気だ?」



こっちを頑として向こうとはしない日向くんだけど
ほんの少し見えた頬はまだ夕暮れには早いこの時間に真っ赤に染まっていた
その原因が分からないほどあたしは鈍くないし
その感情はあたしにとっては嬉しいものだったりもするのだから




「いいじゃないか
あたしのことずっと好きでいてくれるんだろ?」



思わず自分の頬が緩むのを感じる
日頃からあたしは日向くんと一緒にいることが多いから日向くんの気持ちが伝わってくる機会も結構沢山ある
この日向くんの“好き”が感じられなくなるのがちょっと怖いくらいで
だから、嬉しいんだよ日向くん



「いいのか?ずっと好きでいても?」




「もちろん!
ずっとあたしのお日様な日向くんでいてくれよな」



“女の子らしさ”からは結構かけ離れてるけど、そんなあたしを好きだって言ってくれる
日向くんはやっぱりお日様みたいな暖かい人だ



「ガッツ!!
じゃあ遠慮なくずっと好きでいるからな!」



――“だから鈴風さんも、”だなんて
そんなの当たり前じゃないか

日向くんの優しさや暖かさをあたしだけが受け取ることができたらいいのにと願うあたしが、日向くんを好きでなくなる日なんてきっと来ないよ


そういったらあたしのお日様はまた照れるのかな
それとも今度こそにっこり笑ってありがとうって言ってくれるかもしれない




お日様、ずっとあたしを照らしてよ


「日向くん大好きだ!!」


「うわ!いきなりどうしたんだ鈴風さん」


「ううん、何か言いたくなっただけだよ」






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