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□君の為だとかそんな訳じゃない
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*案外女子力高い東海寺くん






「黒鳥っ!これ今日作ったんだけどあげるよ」



突然あたしのいる教室に飛び込んできた東海寺くんが手に持っていた袋を手渡す
キレイにラッピングされたその中身は多分あたしの予想通りのものだと思う



「調理実習で作ったんだけどね
思いのほか上手く作れたから黒鳥に食べてほしいなって」



ニコニコしている彼はどうやらあたしに感想を求めているようで
あたしは袋を閉じているリボンをそっとほどいた
途端に香る洋菓子特有の香り
黄金色をしたクッキーがきれいに並んでいる



「同じ班のやつにも好評だったんだ!
獅子村お墨付きだからばっちりだよ!」



だから早く食べてよという副音声が聞こえるような気がするのは何故だろう
それにしてもキレイで美味しそうなクッキーですね
あたしが調理実習で作った真っ黒焦げの物体とは大違いです
これから味にも期待が出来そうですと思いつつ一つ取り上げて口の中に放り込んだ



「………何なんですか東海寺くん」



「えっ!?もしかして美味しくなかった?」



「そうじゃなくてその……、
何で変に女子力高いんですか
あたしより料理上手じゃないですか」



まああたしが下手くそすぎるだけかもしれないけど
それにしても今回はちょっとショック
東海寺くんの方が料理上手なんて女の子としてはなんだか悔しいです



「心配しないで黒鳥!
たとえ黒鳥が料理出来なくても俺が作ればいいんだからね」



「なにそれ、嫌みですか?」



別に料理上手な東海寺くんに苛立っただけであって、東海寺くんに手作りのお菓子をあげるハードルが上がったなとか思ってませんからね



帰ったらママか桃花ちゃんに聞いて料理の勉強でもしようかな
断じて東海寺くんを驚かせたいとかそんなわけじゃないけど




甘い甘いお菓子はいかが?


(なにあのリア充オーラ!!)





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