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□その愛よりもなによりも
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*ヤンデレを自覚している大形くんとそれでも好きなチョコ




「大形くん、あたし………」



黒鳥さんが潤んだ目で僕を見つめる
その瞳が僕を射抜くたび僕のちっぽけな決意がぼろぼろと剥がれ落ちていくような気がして僕は目をそらす



「聞きたくないよ、黒鳥さん」



覚悟はもうできてるんだ
だからお願い、僕の心を揺さぶらないで




好きだよ黒鳥さん、キミを愛しているんだ
だからこそ僕はきっと君を壊してしまう
知ってるかい?僕の愛は狂ってるんだ
愛する君を大切にしたいと願うと同時に僕は君を壊したい願望に駆られている


何よりも大切な君だからこそ傷つけたくない
僕の手でなんて、真っ平だよ





「大形くんは勝手すぎます」




ああ分かってるよ、そんな事くらい
何度も君に思いを伝えておいて、いざとなったら拒絶する
なんて自分勝手でひどい男なんだろうね
だけどね黒鳥さん、これも全部君を守るためなんだ



「好きなだけじゃ何もできないんだ」



その愛が君を苦しめるならばそんな愛などないほうがいい
好きな気持ちだけじゃ僕は僕自身から君を守れないんだ
だったらいっそ、この胸の中にくすぶる醜い感情なんて全部知らない方が君にとっても幸せだろう



「……あたし、大形くんになら壊されてもいいのに」



ああなんて慈悲深い
君の愛は狂った僕でさえ赦し包み込んでいく



「それに、大形くんを信じてますから」



僕はそんなことはしないって、そう信じてるのかい
それは違うよ黒鳥さん
僕が今まで勝ち取ってきた信頼なんて君への愛の前ではすべて効力を失うんだ
だから、僕の愛に絶望する前に
早く、はやく僕を嫌いになってよ






なによりも君を守りたい
(たとえそれが僕自身だとしても)





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