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□暖かさをくれる人
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「さっむーいっ!!」


学校を出るなりあたしたちを冷たい風が襲う
昼間はぽかぽかしてたから大丈夫だと完全に油断してた

隣を見るとチョコが小さな体をさらに丸めて寒さをしのごうとしている



「チョコぉー」



「何ですか」



「寒いー何とかしてよぉ」



「それは無理です」



だよねー
いくらチョコが魔法オタクでも実際に何とかできるわけないもん
でも分かってるけど何となく聞いてみたい、そんなときだってあるもんね



「可愛いあたしに北風さんが嫉妬してるのかなぁ」



ふと思いついたことを口に出すとチョコは何ともいえない顔であたしを見てくる



「ちょっとチョコ反応うすーい」



何だかちょっとむっとしたから言ってみるとチョコは呆れたような顔をしてため息をついた
多分スッゴく失礼なことを考えてる気がする
あたしが可愛いのは事実なのにね、何に不満があるんだろ
でもまあいいや、チョコだからつい許しちゃう



「ホントに寒いですね」



とは言いながらもチョコはダウンジャケットに手袋にマフラーという完全防寒
ジャケットの下にはいつものオーバーオールだしあたしよりは絶対寒くないはずなんだけどなー



「メグは薄着過ぎるんですよ」



「えぇっ!!おしゃれは我慢だよぉ」



「それで風邪引いてちゃ元も子もないですって」



一見突き放したような言葉だけどあたしには分かる
チョコは何だかんだであたしの事気にかけてくれてる
今だって遠まわしに風邪引かないように注意してくれたんだよね
それが分かるからあたしはつい笑顔になっちゃう



「何笑ってるんですか」



「えへへー、ちょっとねー」



あたしのこと本気で心配してくれてるのは家族以外ではチョコだけだと思う
チョコは優しいから何だかんだで友達を大事にしてるんだよね
素直じゃないから“友達なんて面倒くさい”なんて言っちゃってるけど、いざという時何度も助けてくれた



そんなチョコがあたしは大好き





「チョコくっ付いていい?
押しくらまんじゅうしようよ!」



「……二人でですか?」



「あたしとチョコがやれば暖かいよきっと」



「訳わかんないです」



「ほらっあたしとチョコの仲良しパワーで、とかさ!!」



そう言うとチョコは急にポケットの中を探り出した
何探してるんだろと思いながら見てると



「そんなに寒いならあげますよ」



そう言って差し出してきたのは手に持つタイプのホッカイロ
さっきまでチョコが握ってたのか普通の物より暖かい気がする



「……ありがとう」



「メグが風邪引いたら困りますからね」



そう言うチョコの鼻の頭が風に当たって赤くなっていて
なんだかあたしは幸せな気分になった


寒がりなチョコがあたしのためにくれたカイロだもん
絶対絶対普通のカイロより暖かいよね!
何て言ったってチョコの暖かさが詰まってるんだもんね
このカイロは世界さいきょーだよ!
これぞ可愛いあたしに相応しいカイロだよね



「チョコ」



「何ですか?」



「だーい好きだよぉ!」



そう言うとチョコはちょっとだけ戸惑ってだけどすぐに笑ってくれたからあたしはさっきよりも幸せになれた気がしたんだ





君がくれた暖かさ




(チョコ!やっぱり押しくらまんじゅうしようよ)



(……二人でやったら歩けませんよ)





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