short2

□信じてみたい君のこと
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最近あたしは変だ
体は何とも無いはずなのに時たま胸がギューって苦しくなる
かと思えば急に体が熱くなって満足に会話出来なかったり
それが起こるたびに家に帰って熱を計ってみても平熱だからまだ誰にも言ってないけれど



「黒鳥!」



ほら、またこの症状
胸の奥がギュッと締め付けられてちゃんと息が出来てるかも怪しい

だけどここでちゃんと受け答え出来ないと怪しまれちゃう
どうせこの症状を言っても体におかしいところは無いんだから気持ち悪がられるだけだし
だったら何とかしてもバレないようにしなきゃ、



「どうしたんですか?」



「……もしかして最近黒鳥体調悪くない?」



まさかのいきなりの図星に流石に慌てたけど、ここで諦めたらごまかしの天才(自称)の名が廃る



「なんでそう思うの?」



「いや、最近黒鳥ずっと顔が赤いから熱でもあるのかと思って」



「……熱なら無いですよ」



なんせここの所毎日熱計ってますもん
昨日の夕方もバッチリ平熱でしたから間違いありません



「おかしいなー
今もちょっと赤いんだけど……」



その言葉と同時に彼の手がピタリとあたしのおでこに触れる
途端に手が触れた所から熱さが増して胸がますます一層苦しくなる
だけどどうしてだろう
苦しいはずなのに何だか暖かい



「……いつまで触ってるんですか」



やっとのことで絞り出した言葉はそんな可愛げの欠片もないものだったけど
彼は素直に手を退けてくれた



「本当に熱ないの?」



「無いものは無いです」



「気付いてないだけでとか」



「熱は無いです間違いなく
あったら喜んで学校休みますよ」



まあ家にいたらいたで性悪黒魔女に扱かれそうですけど
なんて思っていたら不意に聞き慣れない高いか細い声が飛んできた



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