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□信じてみたい君のこと
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「東海寺くん、ちょっといいですか……?」



そちらを見ると顔を真っ赤にした可愛い女の子がもじもじしながら俯いていて
いくらこういう事に疎いとはいえあたしにだって分かる
これは間違いなく、告白だ



「えっと……」



困ったようにあたしをちらちら見やる東海寺くん
何を迷うことがあるんだろう
あたしになんか構わないでもいいのに
むしろその方があたしも清々するし



「いいじゃないですか、行ってきたら」



あたし用事があるんですと誰が聞いてもバレバレの嘘をついてその場を離れる
次第に強くなる胸の痛みとさっきまでの熱さが嘘のように冷え込んだ体の意味をあたしはひたすら考えないようにしていた





本当にあたしどうしちゃったんだろう
胸が痛くて心があたしの意志に反して辛いと叫ぶ
さっき感じた暖かさはなくて正真正銘純度100%苦痛しかない


意識しないうちに流れていた涙を拭うことすらももどかしい
泣くような事なんてなかったはずなのに、止められない止まらない


廊下を歩きながら涙を流しているあたしを通りすがりの人たちが怪訝な顔つきでみてるけれど正直あたしはそれどころじゃなくて


どこかひとりになれるところ……と考えて思いあたった場所に向かう
とにかくどこかで落ち着きたかった





「……どうしたんだよ」



やっぱり屋上には今日も速水くんがいた
日陰になっているところに腰掛けて本を読んでいる姿はいつもと全く変わらなくて少しだけホッとした



「話したくないならいいけどさ」



座れよと隣をポンポン叩く速水くんに甘えて隣に腰を下ろす
何も聞かないでくれる優しさは今のあたしには身にしみてありがたい
もっとこういう面見せればいいのにというと速水くんはいつだって照れくさそうにそっぽをむくから言わないけど



「……速水くんは、こう胸がギューって苦しくなることありますか?」



話してみようと思ったのは速水くんならもしかすると気味悪がらずに真面目に答えてくれるかもしれないと思ったから
ひとりでため込むのはもう正直限界だった



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