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□愛の病
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貴方を好きで、心底愛して
こんなに切ないものなんだって知って、声を殺して泣いた。
∞愛の病∞
砂埃が上がるグラウンド。
煙い匂いが嫌になる頃に、貴方の声を耳が捉える。
「グラウンド100周、今日も一番乗りだぜ! コラ!!」
屈託の無い笑顔。
その顔は砂埃で汚れてる。
「…判ったから顔洗ってこい」
可愛げの欠片もない自分の言葉。
嗚呼嫌になる。
右のポケットに入ってるハンカチを渡す事は無く、青年は水場へ。
その背中を見る度、ほんのちょっと、胸がきゅ.ときつくなる。でも、
そんなの知らない、『認めない』。
これが所謂『恋』だなんて認めたら、自分が自分じゃなくなってしまいそうで。
今までの自分が壊れそうで。
でも、そんな俺の気持ちとは対照的に、
遠くから叫ぶ声、
「ラルー!!! 愛してるぜ!! コラ!!」
余りにもストレートに感情をぶつけてくる彼奴。
どうしてあそこまで人目を気にせずああいう事を言えるのか、理解に苦しむけど。
「馬鹿が…」
毒吐きながら、口許を緩ませ音無く呟く。
『俺もだよ、愛してる』
病の様なこの想い、報われる事を願って。
fin.