第3部
□第13の枝 ドラゴンに懐かれる少女
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鈍く美しく輝く、それでいて鋼鉄の様な強度を誇る鱗。
宝石の様な目、巨大な体、しなかな尻尾、するどい牙に鉤爪。
轟く咆哮に、一息に吐くその炎の素晴らしさと言ったら!
その少女、アナベル・ポッターは光を閉じ込めたようなハシバミ色の目を一層輝かせて、
眼下に蹲っているドラゴンを見つめていた。
「うへー!ドでかいなぁ!」
横の方で、ロンが怖々声をそう張り上げている。
その隣で頷くのはハーマイオニー。
その横にアナベルが座り、反対隣りにハリー、そのまた隣にジニーがいた。
そこは、第一の課題の舞台だった。
いつの間にやら特設された、クイディッチ競技場の様な観客席が高い場所にあり、
その下に平地があって、選手たちがドラゴンと対峙している。
現在は、ダームストラングの代表選手ビクトール・クラムが巨大なドラゴンと対峙しているところで、
有名どころのクラムの様子に、観客である生徒は身を乗り出して注目している。
あの高名なクイディッチ選手のクラムが、どうやってあんな巨大なドラゴンから卵を奪うのだろうと、
ハリーたちも、興味深々だったのだが。
「素敵!!東洋のドラゴンは色が鮮やかね!」
約1名、クラムなど眼中になくドラゴンしか目に入っていない生徒がいた。
無論、アナベルで、しきりに卵の上に蹲っている深紅のドラゴンを見つめていた。
「ふぅん?あれ、東洋系なの?」
さすが、動物好きなアナベルはドラゴンの種類までわかるのかと、ジニーが感心した。