第3部

□第19の枝 未来予想
1ページ/10ページ






 「おーい、ベイジー!」


 「んぁー?」



ポケットに手を突っ込んで、ぶらぶら談話室を横切り寮を出ようとしていたスリザリン生、ベイジーは、
後ろから声を掛けられて、のんびり振り返った。


今日は授業が早く終わる日で、いつもよりのんびり時を過ごせる。

トライウィザードトーナメントのせいでクイディッチの試合もないため、
普段クイディッチの練習に明け暮れているベイジーは、何かと暇を持て余していた。




 「おまえ、暇だろ。ちょっと来いよ。」



声をかけた同じスリザリンの同級生の少年も、それは承知していたらしい。

にやっと笑って誘われ、ベイジーは向きを変えて談話室に戻ることになった。



 「なんだよ、なんか面白いことか?」


 「おうさ。」



そう言った同級生の前には、ローテーブルの上に1枚の紙が置かれている。
何やらこまごま数字が書かれた紙に、ベイジーは首を捻りながらソファに座った。



 「百味ビーンズ食う?」


 「食う。ていうか、なんだそれ?」



差し出された百味ビーンズの箱に、無造作に手を突っ込みながら(ちなみにこれはかなり果敢な行為である)、
ベイジーは、訳の分からないその紙きれを見下ろした。

同級生は自分もピンク色のビーンズを口に放り込みながら、手に持った羽ペンをクルクルと回す。



 「賭けだよ。おまえもやんないかと思って。」


 「賭け?なんの?」


 「おいおい、そんなの決まってんだろ。今回の三校対抗試合で、誰が優勝するかってやつ。」



そう言われ、ベイジーはへー!と改めて紙を覗き込んだ。

よく見れば、確かに、代表選手たちの名前が書いてあった。



セドリック・ディゴリー、ビクトール・クラム、フラー・デラクール。



そこに書いてある数字を見る限りでは、ビクトール・クラムの数字が高い。


第一、第二の課題が終了し、残すはクリスマス後に行われる第三の課題だけだったが、
数字を見る限りでは、クラムに期待している人間が多いらしかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ