第3部
□第21の枝 あわや大惨事(後篇)
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「おいこら、ヘドウィグ!暴れるな!」
「そうよ、怪我がひどくなっちゃうわよ。」
「怪我っていうか、棘が刺さっただけじゃないか。」
「ロン、そんなこと言ってるとヘドウィグにつつかれるわよ。」
ハグリットの小屋の中。
外からそんな数人の会話が聞こえた瞬間、
もれなくハグリットも含め、ドラコとアナベルはビシッ!!と固まってしまった。
聞き慣れたその声は、間違いなくハリー、ハーマイオニー、ロン、ジニーのものだ。
タイミング的に最悪の面子だが、さらに悪いことに、声の主たちは小屋に近づいてくる。
というか、もうドアの前まで来ているらしい。
「わっ、わっ、わ…ど、ど、どうしよう!?!?」
アクシデントに弱いアナベルが、おたおたと立ち上がる。
ドラコも、さすがに焦った。
声のメンバーからして、ジニーとハーマイオニーにはもう秘密がバレているので構わないし、
ロンも、いざとなればなんとでもなると思っていたが、
問題はメンバーの中にラスボスの1人、ハリー・ポッターがいるようだということ。これはヤバい。
「ハグリットー、いるー?」
ハリーの声が大きく響き、ハグリットはうろたえてキョロキョロと目を彷徨わせた。
ドラコは衝撃から立ち直り、
素早く立ち上がったのだが……………一瞬遅く、通い慣れたハリーたちによって、あっさりとドアが開かれた。
「「!!!」」
ハグリットとアナベルがぎょっとして、その場に立ち尽くす。
その場ににぎやかに入ってきたのは、
白いフクロウを抱えたハリーを先頭に、ロン、ハーマイオニー、ジニー。
「あ、やっぱりいた!ジニーが、アナベルもハグリットのところにいるって言ってたんだ。」
強張ったアナベルとハグリットの顔にも気付かず、ロンが暢気に言う。
ハリーもそうそうと頷いて、抱えていた白フクロウを示した。