第3部
□第22の枝 特別ダンス講師登場
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『 ダンス指導授業の案内 』
そんな張り紙が張り出されたのは、雪が雨のように降り注ぐ12月にお馴染みの天気の日。
クリスマスを2週間後に控え、生徒たちもそろそろダンスの相手を見繕い始めようかとしていた時だった。
マグル界出身の者や、日常的にダンスに慣れていない生徒たちが大半なので、
まずは一通りダンスの講義を受けさせ、
少しでも自信を付けてから、パートナー選びができるようにという教師たちの配慮らしい。
確かに、『ダンス』パーティーに不安を覚えていた生徒たちは、その貼り紙を見て喜んで参加を決めた。
のだが、女子たちはむしろ、
その授業のために、特別講師として招かれる人物の名前を見た途端色めき立っていたりもする。
「へー!ダンスの授業だって。」
グリフィンドールの2年生、ジニー・ウィーズリーも廊下でその貼り紙を見た時は、
興味を覚えると同時に、非常にほっとした。
ダンスになんて、まるきり縁がなかったからだ。
「あー、よかった。パーティーは別にいいんだけど、ダンスっていうのが憂鬱だったのよねぇ。」
「あら、女性の場合は、そこまで緊張することもないのよ。」
胸をなでおろしているジニーに、アナベル・ポッターが笑う。
「男性のリードがあれば、ある程度踊れるもの。」
肩をすくめてそう言うアナベルに、ジニーは少しばかり驚いた。
アナベルとて、
ダンスには慣れておらず不安を感じているとばかり思っていたのだが、違うのだろうか。
「そうなの?ていうか、アナベルはダンスに慣れてるの?」
「うーん、まあそれなりに。うちの…マルフォイ家のパーティーでは、よく踊ったから。」
「………。」
アナベルの答えを聞いて、ジニーは聞かなきゃよかったと瞬時に後悔した。
だが、アナベルが多少ダンスに慣れているのは事実。
マルフォイ家のパーティーでは、アナベルはよくドラコやルシウスと踊っていた。
ただ、他の招待客からダンスに誘われると、瞬く間にドラコがやってきてアナベルを連行していくので、
他の人間と踊ったことはなかったが。