第3部

□第12の枝 ジニーの悩み事
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 「……………。」



再度手紙の問題の部分を見直し、ジニーは盛大にため息をついた。

なるほど、確かにアナベルなら喜びそうな話だ。

ジニーにしても、思いがけず休暇明け早々、またチャーリーに会えるのは嬉しいのだが……。
問題は、ここ。



 『アナベルのドラゴンとのふれあいについて、ハリーとマルフォイに許可を得る。』



 「いや、無理だろ!!」



思わず、ジニーは座りこんだベッドの上で盛大につっこんでしまった。


 「うーん……。」


向かい側のベッドで寝ぼけた声がし、ジニーは慌てて口に手を当てた。

が、すぐにまた寝息が聞こえてきてほっとする。
時刻はそろそろ7時過ぎになるのだが、今日は休日なのでルームメイトたちはまだ寝ている。


ジニーは静かに息をついて、再び自分を悩ませている手紙に目を落とした。



 (ハリー先輩とマルフォイの許可…いやいやいや、無理っしょ。)



改めて、そう思う。
チャーリーは簡単に言っているが、ここには大きな問題があるのだ。

つまり、ハリーとマルフォイ、両方にこれを伝えることはできない、ということだ。



 (だって、これを伝えたら、まず2人ともダメだって言うに決まってるでしょ。
で、アナベルがねだって、それに負けて許可するとしても、絶対自分がついて行くって言うだろうし。)



そう、ここが問題。

結局妹に弱いハリーも、恋人に弱いマルフォイも、アナベルに負けて許可を出すだろう。
それは目に見えている。

しかし、だったら自分の目の届くところで…と条件を付けてくるはずだ。


つまり、アナベルはハリーとマルフォイを連れていかなければならない。

だが、それは無理だ。

マルフォイはともかく、ハリーは、なんでおまえが!?となるに決まっているし、
次の瞬間には最悪、殺し合いが始まってしまう。



 (あのスリザリン野郎も、今のところは上手いこと、アナベルとのことを隠してるもんねえ。)



ハリーとて、まさか可愛い妹が最低最悪の天敵に盗られているとは思いもすまい。

それに気付かせるわけにはいかないので、
ジニーはどちらか一方にこの許可をとる、という面倒な選択を迫られていた。


妹命の超過保護兄、ハリー・ポッターか、
意外なほどアナベルに惚れ込みまくっているスリザリンの恋人ドラコ・マルフォイか。
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