第3部
□第19の枝 未来予想
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「おーい、ベイジー!」
「んぁー?」
ポケットに手を突っ込んで、ぶらぶら談話室を横切り寮を出ようとしていたスリザリン生、ベイジーは、
後ろから声を掛けられて、のんびり振り返った。
今日は授業が早く終わる日で、いつもよりのんびり時を過ごせる。
トライウィザードトーナメントのせいでクイディッチの試合もないため、
普段クイディッチの練習に明け暮れているベイジーは、何かと暇を持て余していた。
「おまえ、暇だろ。ちょっと来いよ。」
声をかけた同じスリザリンの同級生の少年も、それは承知していたらしい。
にやっと笑って誘われ、ベイジーは向きを変えて談話室に戻ることになった。
「なんだよ、なんか面白いことか?」
「おうさ。」
そう言った同級生の前には、ローテーブルの上に1枚の紙が置かれている。
何やらこまごま数字が書かれた紙に、ベイジーは首を捻りながらソファに座った。
「百味ビーンズ食う?」
「食う。ていうか、なんだそれ?」
差し出された百味ビーンズの箱に、無造作に手を突っ込みながら(ちなみにこれはかなり果敢な行為である)、
ベイジーは、訳の分からないその紙きれを見下ろした。
同級生は自分もピンク色のビーンズを口に放り込みながら、手に持った羽ペンをクルクルと回す。
「賭けだよ。おまえもやんないかと思って。」
「賭け?なんの?」
「おいおい、そんなの決まってんだろ。今回の三校対抗試合で、誰が優勝するかってやつ。」
そう言われ、ベイジーはへー!と改めて紙を覗き込んだ。
よく見れば、確かに、代表選手たちの名前が書いてあった。
セドリック・ディゴリー、ビクトール・クラム、フラー・デラクール。
そこに書いてある数字を見る限りでは、ビクトール・クラムの数字が高い。
第一、第二の課題が終了し、残すはクリスマス後に行われる第三の課題だけだったが、
数字を見る限りでは、クラムに期待している人間が多いらしかった。