第3部

□第19の枝 未来予想
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 (うーん、どこ行ったら会えんのかな。)



はたとそれに思い当り、ベイジーは足を緩めた。

だがまあ、結構な人数いるのだし、その辺をぶらぶらしていたら会えるのではないかと、
ベイジーは持ち前のお気楽思考を発揮して、一人頷いた。


とりあえず、中庭にでも行ってみよう。


そう思ってのんびり中庭へ歩き始めたベイジーは、運の悪いことに…いやいや、この場合は運のいいことに、
すぐに、廊下の隅にボーバトンの女子生徒が立っているのに出くわした。


それは運がいい。


しかし、同時に運の悪いことに、彼女は今絶賛告白中のようだった。



 「あなたの事が好きなの。付き合ってくれないかしら?」


 (うあちゃー…。)



なんで俺、いっつもこういう場面に出くわしてしまうのだろう。

ベイジーは慌てて甲冑の陰に隠れながら、ため息をついた。

まあ、人からよく言われるように、
どちらかと言うと噂好きなので、あながち運が悪いと言いきることはできないが…。



 (ま、いっか。告白中だろうとなんだろうと、ボーバトンの女子観察はできるよな。)



一人で納得して、ベイジーは用心深く甲冑の陰から、告白中のそのボーバトンの女子生徒を眺めてみた。


毛先のカールした、艶のあるブロンド。
白い肌に真っ赤な唇。緑の大きな目。


微かに首を傾け、微笑を浮かべるそのボーバトンの女子生徒は確かに美人だった。

完璧な化粧といい、自分を美しく見せるコツをよく知っているらしい。



 (はー…確かに、レベル高ぇな。同い年くらいかな。)



輝く様なその美しさに感心しながら、ベイジーは年齢を推測しつつ、体を慎重にずらした。

告白されている相手の方にも興味がある。
わざわざこんなところで告白しているのだから、相手はホグワーツ生か、ダームストラング生なのだろうが…。



 「ねえ、ダメ?付き合ってくれる?」



重ねてボーバトンの女子が聞いている。

そこで、初めて相手が口を開いた。




 「申し訳ないが、お断りだ。」




これほどの美人から告白されている割には、ひどく素っ気ない声だった。
返事もにべもない。



 (おいおい、断わっちまうの!?こんなすごい美人、なかなかいないぜ!………ていうかさ!)



ていうか、この声。
聞き覚えがあるんですけど。

心の中でそう叫び、ベイジーはじりじりと体をずらし、とうとう相手の顔を見た。
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