第3部
□第20の枝 あわや大惨事(前篇)
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「ポッターは?」
今は降っていないものの今にも雪が降り出しそうな空模様に、中庭に出ている生徒はいない。
それでも注意深く周りに目をやりながら、ドラコは隣を歩く少女に尋ねた。
「お兄ちゃんは、ロン先輩たちとルーピン先生のところに行ってます。」
「そうか。それにしても、ハグリットは僕に何の用なんだろうな。」
アナベルの答えを聞いて安心しながらも、
ドラコは今朝方届けられた伝言を思い出して、改めて首を捻った。
それは、ハグリットからで、
ドラコとアナベルに是非手伝ってほしいことがあるから、できれば今日小屋まで来てほしいというものだった。
アナベルはともかく、ドラコにも手伝ってほしいと言うと、動物絡みではないのだろうか?
ドラコはいろいろ考えたものの、見当もつかず。
それでも、一先ず少女と一緒に行動できればなんでもいいので、
こうやって、ハグリットのところへ向かっているのである。
アナベルにもわからないらしく、
コートの中にもぞもぞ入ろうとする子猫を引っ張り出しながら、同じく首をかしげた。
「なんでしょうね。でも、やっぱり動物のことかもしれませんよ。
ドラコ先輩は、私の優秀な助手さんですもの。」
そう言って、なぜかアナベルが自慢そうにするので、ドラコは笑ってしまった。
アナベルと一緒に過ごせるなら、それが動物の治療中でも構わないドラコは、
恐らく一番、彼女の治療に立ち合っている時間が多い。
おかけで、もう言われる前に必要な魔法薬を手渡せるくらいになっていたので、
確かに、助手の意味で呼ばれたのかもしれない。
(とすると、気をつけないとな。)
またハグリットが小屋にとんでもない手負いの怪物を引き込んでやしないかと、些か危惧しながら、
ドラコはアナベルとともに、問題のハグリットの小屋に到着した。