第3部

□第21の枝 あわや大惨事(後篇)
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 「ヘドウィグの足に棘が刺さっちゃったみたいでさ。大暴れして、僕じゃ取らせてくれないんだ。
ベルを探してたら、ハグリットのところだっていうし、丁度いいかなと思って。」



そう説明しておいて、ハリーはようやくアナベルの固まった顔に気付いた。



 「……?アナベル?どうかした?」


 「えっ!?えっ、ええと、いや…………
お、お兄ちゃんたちがいきなり入ってきたから、ちょっとび、びっくりしただけよ。」



これだけ見ても、アナベルが嘘をつくのが下手なのがよくわかる。

ハグリットでさえ、そう思ったが、
ハリーたちは特に小屋の中に変わった様子もなかったので、一先ずのアナベル言い分を信じた。




 「と、とりあえず、座れや、みんな。」



ハグリットもなんとか動揺を押し隠し、4人に椅子を勧めた。



 (……というか、マルフォイはどこ行ったんだ?)



困惑したハグリットがこっそりとアナベルを見ると………アナベルは緊張した顔で、目で真下を示していた。




 (机の下!?)


 (机の下です。)




事態が事態なだけに、なんとか心の中で会話できた。


ドラコはどうやら、咄嗟に机の下に潜るしかなかったらしい。

ハリーたちが入って来る前になんとか施錠の呪文を掛けようにも、杖を取り出す暇すらなかったので、
クイディッチで培った反射神経で行動を起こすしかなかったのだ。


と、そこでハーマイオニーがテーブルの上を見て、あら…?と首をかしげた。



 「変ね。なんで、カップが3つあるの?」


 「「!!」」



はい、そうでした。

机の上には、ドラコの分のティーカップが乗ったままだ。
ジニーもそれを見て、不思議そうな顔をした。



 「あれ、ほんとだ。誰か来てたの?」


 「あっ、ああ、そうだ。えーと、ほれ…。」


 「ス、スネイプ先生よ!スネイプ先生が、魔法薬の材料になるナメクジを取りに来てたの!」



しどろもどろのハグリットに、アナベルが慌てて口を挟む。

だが、それを聞くとロンはますます不思議そうな顔をした。



 「スネイプが?それで、ナメクジ取りにきたのに、お茶飲んでったの?」


 「「…………。」」



おっしゃる通りです。

アナベルとハグリットは揃って沈黙してしまったが、意外なことにハリーが一人納得顔で頷いた。
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