第3部

□第21の枝 あわや大惨事(後篇)
3ページ/7ページ






 「あー、スネイプのやつ、なんかアナベルには優しいもんな。」



嫌なのだが、嫌でない様な。
微妙な顔をしてそう言うハリーに、ジニーも笑って同意した。



 「そうねえ、言えてる。この前なんて、加点してたわよ。」


 「えー、スネイプが?」


 「そうそう。アナベル個人に。」


 「「「個人に!?」」」



うまい具合に、ジニーがそんなことを言い出してくれたおかげで、
以前の授業中の話になり、アナベルとハグリットはほっと一息ついた。


が、ここからが問題である。


ハリーたちが帰るまで、なんとかしのげるだろうか…。

アナベルが不安に思った時、何かが膝に触れる感触がした。




 「!?」




辛うじて叫ばなかったのは、なんとかテーブルの下にドラコがいるのを思い出したから。

そろそろと目を下げれば、テーブルクロスの下からのぞくアイスブルーの目を見つけた。


アナベルは、ドラコとなら楽に目で会話できるので、
そこに浮かんでいる指示を読みとり、こくり…とこっそり頷いた。



 (よし…。)



心の中で気合を入れてから、アナベルは不意にハリーたちの会話を遮って声をあげた。



 「あ、そうだ!お兄ちゃん、ヘドウィグの棘は抜いてあげるけど…
その前に、ハグリット先生にいいもの見せてもらったら?」


 「いいもの?」



ハリーが首をかしげ、ハグリットを見やったが、ハグリットはアナベルの意図が読めずに困惑している。

アナベルはなんとか意図を伝えようと、言い募った。



 「ほら、今度の4年生の授業で使うって言っていた生き物ですよ。
そっちの、畑の方にいるんですよね?」



つまるところ、アナベルはハリーたちに決して背後、つまりドアの方を見ないでほしいのである。

よくわからなかったが、ハグリットは慌ててうんうんと頷いた。



 「お、おお、そうだ!可愛い奴らだぞ。ちょっくら、見てみっか?」


 「えー、ハグリットの『可愛い』は信用できないからなぁ。」



ロンがケラケラ笑っていうと、ハリーも苦笑する。

それでも興味はあるのか、ハーマイオニーたちも含めて畑の方に面している窓を見やった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ