第3部

□第22の枝 特別ダンス講師登場
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 「でも、わたしは慣れてないもの。ね、アナベルも一緒に行きましょうよ。ね?」


 「いいわよ。」



一人では心細いと顔に書いてあるジニーに、アナベルも快く了承する。

ジニーはほっとして、再び貼り紙に目を戻したのだが。




 「!うわっ、すごい!ちょっと、アナベル見て見て!」


 「?」




ジニーが急に興奮し出し、アナベルは面喰って促されるまま貼り紙を眺めてみた。

授業の日時、場所、講師名など。
見たところ、何も変わったことは書かれていないが…。

首をかしげるアナベルに、ジニーは信じられないという顔をした。



 「この特別講師の名前よ!聞き覚えないの!?」



まさか!という感じで聞かれて、アナベルはうーんとますます首をかしげる。



 「ギルデロイ・ロックハート?誰、それ。」


 「信じらんない!」



知識豊富なこの友人は、世間一般のことやゴシップ系のこととなると途端に疎くなるのを、
ジニーは改めて、実感してしまった。

実家がマグルの家ならともかくも、魔法界に住んでいてこの有名人の名前を知らない人間も珍しい。

しきりにハテナマークを飛ばしているアナベルに、ジニーはやれやれとため息をついて説明してやった。



 「すっごい有名人よ、この人。週刊魔女とかラジオとかにもよく出てるし、
写真集とか、実話かどうかは知らないけど本も何冊か出してるの。

まあ、イケメンみたいでね。うちのママが、このギルデロイ・ロックハートの大ファンなのよ。」


 「へー!そんな人がダンス講師?」



ジニーの説明を聞いて、アナベルは素直に驚いた。

だがまあ、これで謎が解けた。
どうりで、まわりの女子たちが貼り紙を見た途端しきりにざわざわしているはずだ。



 「有名人なのはいいけど…ちゃんとダンスを教えられる人なの?」



仮にも、『講師』なのだから。

アナベルは些か疑問に思ったが、ジニーの方はさぁ…とあまり興味なさそうに肩をすくめた。



 「本職ってわけじゃないだろうけど。
なんていうのかな、とにかくいろいろやってる人だから、ダンスもそれなりに上手いんじゃない?」



上手いのと人に教えるのとは、全然別物だと思ったものの、アナベルはとりあえず好奇心もあって、
数日後、ジニーとともにその『ダンス指導授業』に出てみることにした。
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