第3部

□第22の枝 特別ダンス講師登場
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ダンス指導授業の場所は、拡張呪文をかけた空き教室の一つで行われるようだった。


予想通りと言うべきか、大半の生徒がダンスとは無縁だったようで、
本番前に一度授業を受けようと、大勢教室に集まっていた。


これはまあ想定内だったのだが、
予想外だったのは、一緒にやってきたハーマイオニーのテンションだった。



 「すーっごく楽しみ!!あのギルデロイ・ロックハートに、生で会えるなんて!!」



それはもう目をきらっきらさせながら、
叫ぶようにそう言うハーマイオニーに、アナベルは驚いてしまった。

ダンスなんてしたこともないからと、一緒に来ていたハリーとロンはややうんざりした顔をしている。



 「ハーマイオニーときたら、貼り紙見た日から今日まで、ずっとこの調子なんだぜ。」


 「本当だよ。あのハーマイオニーがって感じ。」



ロンとハリーが盛大なため息とともにコメントした。

確かに、意外だ。

アナベルも同意したが、
周りをよく観察して見ると、ハーマイオニーと似た様なテンションの女子が目立つ。

どうやら、女子に限ってはダンスよりもその講師目当てに来た生徒が多そうだった。



 「ママもハーマイオニーもどうかしてるよ。あんなののどこがいいんだろ?

ハーマイオニーに無理矢理写真を見せられたけどさ、
ただの、ふざけた魔法使いにしか見えなかったけどな。」



ロンが呟くと、途端に周囲の女子からキッ!ときつい視線が飛んだ。

慌ててハリーの後ろに隠れるロンを見ながら、ジニーは苦笑した。


ウィーズリー家の母モリーもハーマイオニーのように熱狂的とも言えるロックハートファンだったのだが、
ジニーはどちらかというと、ロンに賛成だった。

(ファンの女子が怖いので口には出さないが。)


少なくとも、外見は好みではない。
藤色のローブとか、わざとらしく斜めにかぶった帽子とか。


ジニーがそんなことを思っている時、不意にざわっ!と声が上がった。



 「あ、始まるみたい。」



アナベルの言う通り、マクゴナガルが教室の前方にある壇上に上がり、静かにするよう呼びかけた。

ついに特別講師の登場かと、ハーマイオニーやファンの女子たちが勢い込んで身を乗り出す横で、
アナベルやジニー、ハリーたちも大人しく前に注目する。




 「では、ご紹介しましょう。
この臨時授業の為にわざわざお呼びしているので、失礼のないように。

こちらが、特別講師のギルデロイ・ロックハート先生です。」




マクゴナガルがそう注意してから紹介したのだが、
その特別講師が壇上に上がるなり、女子の間からすかさずキャーキャーと歓声が上がった。



 「キャー、信じられない!!本物だわ、本物のギルデロイ・ロックハートよ!」



ハーマイオニーも、ロンの横で大騒ぎしている。


アナベルはうんざり顔のハリーとロンの横に立ち、まじまじとその特別講師を眺めてみた。



男性にしてはやや長めのブロンドの髪。
(わざとらしいほど波打っている。)

その上に斜めにかぶった三角帽に、深紫のローブ。


真っ白な歯を見せつけるように輝くスマイルを浮かべている彼は、
女子たちの歓声を受けて、一層輝きを増しているようだった。
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