第3部
□第23の枝 クリスマスプレゼントの準備
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「うーん……ママもお菓子がいいって言うかな。スネイプ先生はどうしよう。一番お世話になってるし…。」
アナベルは、じゃれついてくる子猫に構ってやりながら、うんうんと唸る。
自分の恩師で、ドラコが幼い頃から慕ってるおじ様で、
お父様とお母様の親しい後輩であるセブルス・スネイプ。
是非ともクリスマスプレゼントを贈りたいのだが、
いまいち、あの魔法薬学教授の好むものが思い当らず、アナベルは考え込んだ。
真っ先に思いつくのは、何か難解な専門書や珍しい薬草などだが…。
「う、うーん…;クリスマスにあげるプレゼントって感じじゃないかなぁ…。」
マルフォイ家にとって、スネイプはもはや家族に近いもののようだし、
できればもう少し、親しみの籠ったものにしたいのだが。
「いっそのこと、パパやお兄ちゃんのプレゼントと一緒にしてみようかな。」
アナベルは悩んだ挙句、そう考えついた。
アナベルの父ジェームズ・ポッターは、
その辺で買ったものよりも、アナベルが何か手作りしたもの方が数倍喜ぶのだ。
兄も似たようなものだったので、毎年アナベルはこの2人には手作りお菓子やマフラーなどをあげている。
去年は手袋だったので、今年はセーターにするつもりだった。
「地下室のお部屋は寒いし、ちょうどいいかも。
先生はセーターって感じじゃないから、ベストにしようかしら。」
ふむ…とハシバミ色の少女はひとつ頷き、更にいいことを思いついた。
兄と父はお揃いのセーターにしようと思っていたから、
スネイプとドラコに、お揃いのベストを贈ったらどうだろう。
大切な恋人には別のプレゼントを既に用意していたが、それにベストがくっついても構わないはずだ。
「よし、そうしよう!」
「にゃー?」
勢い込んで頷くアナベルに、ナイルがきょとりと首をかしげる。
子猫の様子に笑って、
アナベルは早速、ごそごそとトランクの中から編み掛けのセーターを取り出した。
同時にフクロウ通信で、新しい毛糸玉を頼む。
今編みかけている父と兄のセーターはどちらかというとゆったりしたデザインだったが、
スネイプやドラコにはもっとスマートな方が似合うだろうと思い、呪文のかかった一番細い毛糸を注文した。
色は深緑。
胸のあたりに、スリザリンの紋章を編み込んでみようか。
「よし。となると、この2つを早く編み上げないと。」
2つとももうほとんど出来あがっていたので、今日仕上げてしまおう。
アナベルは毛糸玉にちょっかいをかけている子猫を引き離し、せっせと続きを編み始めた。
呪文を掛けているので、
もう一組の編み針たちがアナベルの動きを真似し、自動的にもう片方のセーターを編み始める。
アナベルは途中でふと思い出し、手を止めて愛用の写真立てを見えるところに置いた。