第3部

□第27の枝 決戦の時!クリスマスダンスパーティー(前篇)
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 「あー!アナベル、やっと来た!どこ行ってたのよ。みんなもう、支度始めちゃってるわよ。」



共同寝室に入るなり、そう声をかけてきたのは、
燃えるような赤毛を苦労して梳かしている友人、ジニー・ウィーズリーだった。

アナベルが羽織っていたローブを脱ぎながら、困ったように微笑む。




 「ちょっと用事があって。でも、みんな早いのね。もう着替えてるの?」


 「あったり前じゃない!気合入れなくっちゃね。」


 「そうそう、他校生までいるクリスマスのダンスパーティーなんて、早々ないわよ。」




ジニー以外のルームメイトにも口々に言われ、アナベルもようやくわくわくしながら自分のベッドに座った。




 「にゃー。」


 「ただいま、ナイル。ねんねしてたの?」



ひょこりと枕の下から顔を出す砂色の子猫に、アナベルは笑いながらその小さな頭を撫でてやった。

今からはアナベルも支度があるし、ダンスパーティーが始まるので構ってやれない。

ちょうどよくお昼寝してくれるようでよかったと、
アナベルは、またごそごそ枕の下に潜り込む子猫をそっとしておいた。




 「ねー、この髪留め、どう?このドレスに合ってる?」


 「…色はあってるけど、デザインがねぇ。なんか統一感ないわよ。」



しきりに、お互いを批評しながら着飾っているルームメイトを見つつ、
アナベルも鏡の前で、大事にしている髪を丁寧に梳かし始める。

とはいっても、毎日の日課で朝時間をかけて梳かしている為、もう十分サラサラではあったのだが。




 「ねえねえ、アナベル。このダンスローブ、どう?」



出遅れているアナベルと違い、ジニーはもうしっかりとダンスローブに着替えていた。

その明るいクリーム色のダンスローブを見て、アナベルはばっちりと指で輪っかを作って見せる。



 「素敵よ、ジニー!髪の色とよく合ってるわ。」


 「ほんと?よかったぁ。」



自分以外の人間に太鼓判を押されると安心するらしく、ジニーは大袈裟に胸をなでおろした。
実際、お世辞ではなく、そのダンスローブとジニーの燃えるような赤毛はよく似合っている。

アナベルも櫛を置いて、ようやく自分のダンスローブの箱を取り出した。




 (そういえば、これ、お母様が特注してくださったのよね。)




休暇中に、ナルシッサが張り切ってデザインを決めていたのを思い出し、アナベルはくすりと笑う。

おかげで、まだアナベルも中身を見たことはなかった。


ナルシッサの趣味は疑っていないが、
果たして、どんなものが出てくるのか…とおっかなびっくり箱を開けると…。
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