第3部
□第27の枝 決戦の時!クリスマスダンスパーティー(前篇)
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「うっわ!アナベルのダンスローブすげえ!!」
他人のダンスローブというのは気になるもののようで、
すかさず見に来たルームメイトが、箱の中身に正直な(女性にしては豪快な)感想を上げた。
「確かに、すごい。気合入ってるわねえ。」
「…なんで、アナベルが他人事?;」
つい、ジニーがつっこんだが、
そういえば、この友人も自分もまだ見たことがないと言っていたなと思い出す。
なんでも、お母様が選んでくれたとか言っていたが…。
ジニーはしげしげと、その平たい箱の中身を見下ろした。
そこに美しく収められていたのは、不思議な色合いのダンスローブだった。
なんといったらいいのだろう、その色は赤と紫と青を絶妙な割合で混ぜた様な色をしていた。
ローブ自体の作りは随分本格的なものらしく、いくつかの細かいパーツに別れているので、
ジニーだったら、とても一人では着方がわからないようなものだ。
「うわぁ、これ、レッドブルーじゃない?」
ふと、一人のルームメイトが大声を上げたので、ジニーは首を捻った。
レッドブルー?
しかし、アナベルはその言葉に、驚いたように友人を振り返った。
「すごいわね、レッドブルーを知ってるの?」
「うん、実は親しい叔母さんが仕立屋さんなのよ。」
訳知り顔のそのルームメイトはそう答えて、
ハテナマークを飛ばしているジニーたちの為に、説明してくれた。
「レッドブルーって、色の種類のことでね。まさしく、こんな色のこと。
赤と青がいい感じで共存しててさ、ワインレッドに近い紫の様な赤の様な青の様な色を出してんの。」
「ふーん?確かに、赤だけど青とも言えるわね。」
言葉だけだと矛盾しているようだが、実際に見るとよくわかる。
それに、とにかく綺麗な色だ。
ジニーは感心して頷いた。
「すっごい技術がいる色なのよ。これは女物だから、少し赤が強くしてあるみたいね。
よくペアもので作られるんだけど、男物だと青みが少し強いはずだわ。
それに、レッドブルーは『高貴な色』って言われてて、
例えお金があってつてがあっても、貴族以外には売らないんだってさ。」
どうやって手に入れたの?と、
やたら服に詳しいそのルームメイトに聞かれて、アナベルは曖昧に微笑んだ。