第3部
□第28の枝 決戦の時!クリスマスダンスパーティー(後篇)
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「ナンパとは失礼な、チェスター。これだけお美しいお嬢さんに、声をかけない方が無礼というものさ。」
「ふぅむ、物は言いようだな。」
ご機嫌でそう抗議するオーディスの言葉も、ばっさりと切り捨てられる。
アナベルは、つい笑ってしまった。
「こんばんは、Ms.マルフォイ。この女たらしに困らされていたようで、災難ですな。」
「こんばんは、Mr.マクレーン。魔法事故惨事部からも、人が来られてるんですね。」
「まあ、こじつけの様なものだが。
そら、あそこに神秘部からも一人来ておるよ。早速、美人の匂いを嗅ぎつけたらしい。」
「やあ、Ms.マルフォイ!また、チェスターがわたしの悪口を言っていたんでしょう?
いやしかし、今日は一段とお綺麗ですなぁ!」
どうやら、ちょうど魔法省からの招待客が、続々と到着しているところだったらしい。
そのほとんどが魔法省高官だけあって、マルフォイ家とも縁がある。
大部分の紳士たちはアナベルを見つけるや、いそいそと集まってきた。
休暇中のパーティーで、こんな役人だらけの環境にもだいぶ耐性がついてきたアナベルは、
微笑みを浮かべて相槌を打ち、器用に全員の相手を務めた。
それでも薄れないその優しいオーラこそが、この強かな役人たちを笑顔にさせるのだろう。
しきりに、『Ms.マルフォイ』と呼ばれては構われているアナベルに、
通りがかりのスリザリン生たちは、一様に感心してしまった。
誰だ?
グリフィンドールのあの子に、マルフォイ家の妻は務まらないなんて言ったやつは。
「じゃあ、皆さん。ここは寒いですし、どうぞ会場へ。」
別に自分のうちのパーティーではないのだが、
アナベルはそう言って、魔法省の招待客を大広間へと案内した。
そして、一歩大広間へ足を踏み入れた途端、飛んでくる人影。