番外編話し集@
□ジニーの恋愛相談(後編)
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「―で、どうしたんだ?」
天気のいい日の昼下がり。
デートが取りやめになったかと思ったら、部屋に呼び出され、
ドラコ・マルフォイ少年は子猫を抱いて、
不思議そうな顔でノックの後、アナベル達の部屋に入ってきた。
「…ねえ、なんで普通に女子寮に入ってこれるの?」
とりあえず、ジニーはつっこんだが、ブロンドの少年は軽く肩をすくめただけだ。
「コツがあるのさ。父上に習った。」
碌でもないこと継承してるんじゃないとか思ったが、
今から相談にのってもらう身のジニーは苦労して、ごくんと文句を飲み込む。
それを敏いドラコは訝しげに見ながら、それでも一目散に恋人の方へと向かった。
「夕食の前に会えてよかった。充電させてくれ。あと、こいつ眠いってさ。」
「朝も充電してたじゃないですか。」
むにゃむにゃ言っている子猫を受け取ったアナベルは、笑いながらも、
大人しくドラコに抱えられて、そのままベッドの横の椅子に座ったドラコの膝の上に下ろされた。
ドラコいわく、この『充電』は1日に数回はする必要があるそうだ。
「あー…この癒しがないと、僕は生きていけない。」
しっかりと後ろからアナベルを抱きしめ、
その首筋とミルクティー色の髪に、鼻先をうずめて、
もそもそ呟いているドラコは、幸せ絶頂と言った様子だ。
すんすんと香りを吸い込むように鼻を鳴らしているドラコを、
アナベルも可愛いと微笑んで、よしよしと頭を撫でてやっている。
話だけならともかく、仲の良すぎる様子を早々に見せつけられて、
再びジニーは無言で、ベットの上で蹲り、防御の体勢に入った。
それを見て、慌ててアナベルがべちべちと首筋に顔を埋めているドラコのブロンドを叩く。
「ドラコ先輩!ね、今はジニーを助けてあげてください。
すんごく落ち込んでて、私じゃ上手く相談に乗ってあげられないんです。」
そう言って、呼び出された事情を説明され、
ドラコも必死なアナベルの様子に、大人しく顔を上げて話を聞いた。