アシタのセカイ

□バカとネコ
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『……』




誰かに呼ばれたような気がして立ち止まり、上を見る。


そこにいたのは……




「にゃ〜」


『……ネコ?』




身体を震わせてる白い子ネコ。


登ったはいいが、降りられなくなったらしい。




『どうしよ……落ちたら危ないよね……』




周りを見て、誰もいないかを確認する。


私、こう見えて木登り得意なんだよね。


ただ、職業上あまり良いイメージじゃないから。


人前では滅多にしない。


もう1度確認してから、木に手を掛けた。


……これならちゃんと登れそう。




勢い良く地面を蹴ろうとした瞬間。




「ヤカちゃん!!何やってんの!!」


『えっ!……はぁι 』




私の名前を呼んで走ってくる男に、ため息が出る。




「女の子が木登りなんて危ないよ!怪我したら大変だよ!俺が!」


『うっさいわね……ってか大変なのアンタなの?ι 』


「心配で禿げる!!」


『……』


「わあぁぁああ!!想像しないで!!ι 」




アンタが言ったんじゃん……


その言葉を飲み込んで、目の前の相手を睨む。


そいつは何を思ったのか、顔を赤らめてはにかんできた。


あーもう。


朝から鬱陶しいなぁ。




「それでさ、なんで木登りしようとしてたの?す、スカートなのに……まさかそっちに目醒め白ノい!!」




お腹を(私に)殴られて蹲ってるコイツは坂井羽美。


同じ学校、同じ学年、クラスは別のあんまり関わりのない男子。


……いや、関わりがなかった、かな。


最近急に来るようになった。


私のファンになったんだって。




『……ネコ。上にいるの』


「え……あー、随分と高く……よし、俺が助けてくるよ!」


『はあ?アンタ運動私より……』


「いいから!俺に任せて?」




そう言うと上着を脱ぎ捨て袖をまくり始めた。




『……木登りは細かい木片とかあるからあまり腕まくりしない方がいいよ?』


「あ、そうなの?ι ……よし、これでOK!待ってろよー!!」




そう言って木登りを頑張る羽美。


何度も失敗して、何度もチャレンジしてる。


これは完全に学校遅刻コースだなぁ。




『でもまぁ……頑張れ』




ボソッと呟く。


それなのに、羽美には聞こえてたみたいで……




「ありがとー!!めっちゃ頑張る!!」




満面の笑みで返してきやがった。


あーもう……




眩しいな……




『……っちゃんと上見てなさいよバカッ!!』






バカとネコ




自由気ままで、後先考えてないかのような行動をとる。


放っておくのが難しい、かな。




(絶対私が登った方が早い……)
(それは絶対絶対ダメ!)
(だから前見ろっつってんでしょ?!)




ヤカちゃんの中学時代のお話(´∀`*)
男の子の方は長編用に作ったキャラなので……いつか書きたいなぁ

この後ネコは無事保護されました。(というか自分で降りられました)

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