木初高校男子バレー部!

□Hello.How are you?
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『誰にもナイショだよ?俺ね……』



俺の頭を撫でる大きな手。


貴方は俺が初めて語る夢を、優しい顔で聞いている。


それが嬉しくて、嬉しくて……



泣きたくてたまらなくなったんだ




――――――――――




「Hello, everyone. Let's start an English class! Have a nice time!」



『……なぁ、何回言ってんだよ、その台詞』



俺は目の前に立つスーツ姿の男に呆れていた。


現在時刻朝6時。正直もう少しだけ寝てても学校には遅刻しないだろうといったくらいの時間だ。


しかし、俺は起こされた。この男に。



「い、いやぁ、やはり初めての授業ですし……緊張してしまって……」


『初めてのって……沖縄では普通に授業してたってきいたんだけど』



目の前で情けない事を言い、情けない笑顔を浮かべているのは日向 紅葉。俺の叔父にあたる人だ。


今日から、俺が通ってる中学で英語教師として働く。


そのための練習をさせてくれと頼まれた。……朝の4時半に。



『ふぁあっ……そんなに緊張しなくても大丈夫だって。紅葉さんの英語わかりやすいしさ』


「そ、そうですか?」


『……ニッ 自信持っていけよ』



どうしようもなく心配性で、普段は頼りない紅葉さん。でも



「ぱぱー!たけちゃーん!おはよぉ!」


「紅葉さん!健雄くん!おはよ!」



「あぁ、冬弐良に琥南さん。申し訳ありません。起こしてしまいましたか?」




可愛い息子に綺麗な奥さん。


彼はちゃんと、一家の主である。


ちなみに、俺は居候。今は実家がごたついてるからこの家に預けられてる。


でも、琥南さんも紅葉さんも俺を本当の家族のように迎えてくれた。




「たーけちゃん!とーじね、はやおきできたよお!」


『おお、偉い偉い!さすがトージ!』


トージも、兄貴としてみてくれてる。



幸せな時間。ずっと続けばいいのにな。





願っていた幸せが終わりを告げたのは、これから半年後のことだった。




――――――――――





『……お久し振りです、紅葉さん』



今でも思い出すと辛い。



『なかなか来れなくてごめんなさい』



でも、いつまでも下を向いているわけにはいかなかった。




『……今日は報告があってきました』



前を真っ直ぐに見つめる。


俺の目に映るのは、綺麗に掃除されたお墓。



『あのときの夢、叶えたよ』



秋の風がそっと通りすぎる。


あのときみたく、優しく頭を撫でられてるような気がした。




Hello.How are you?



向こうでも、笑顔でいてくれることを願う。





(紅葉さん!誰にもナイショだよ?俺ね……紅葉さんみたいな英語教師になりたい!)
(ニコッ そうですか。
If it is you,it gets used to!)
(……え?)
(まだまだ勉強が足りませんね(笑))




監督のお話(*^^*)
ちょっぴり切ないね!

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