木初高校男子バレー部!8
□重なった未来
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「それでは舞台反対学園≠フ顔合わせを始めます。私は演出家の諏訪です。ではまずキャストの方から紹介していきましょう」
反対学園≠ヘもともとアプリゲームだったんだけど、人気の高さからアニメ化されたコンテンツ。
普通の学校普通のクラスに通う主人公の大北智則が……って、あらすじはいいか。
今日はその反対学園≠舞台化するための顔合わせ。
何故俺がいるかというと
「じゃあ、次、響ちゃん!」
『ちょ、ちゃんはやめて下さいよι コホンッ 浅野響です。ヒロインの田所今日見役に選んでいただけて光栄です。頑張ります』
「ホントに男の子がやるんだね……」
「聞いた時はびっくりしたよι 」
『でも誰より可愛いですよね?』
「「それについては異議はないよ」」
俺は今、主に2.5次元系の舞台で役者をしている。
コスプレをしていたところから声をかけてもらって、今に至る。
もちろん今までやってきたのは女の子がメイン。
あまり声変わりしなかったため、無理して声を出さなくても女の子っぽい声は出るし。
舞台役者として割と順調に進んできた俺の道。
今回の舞台はちょっと特別。
だって、
「次は制作側の挨拶な!まずは衣装の原案と作成をしてくれます。藤井さん!」
「はい!藤井千絵です。世界観に見合ったものを作ります!なので、思ったことはガンガン言ってください!よろしくお願いします」
高校生の頃に好きだった先輩と再会出来たから。
顔合わせが終わって、話しかけてみた。
『千絵さん、お久しぶりです』
「響くん!久しぶりだね!益々綺麗になって……って、男の人にそれは失礼かな?!」
『いや、俺ヒロインなんで(笑)綺麗でも可愛いでも大丈夫です(笑)』
「そっか!じゃあ可愛くなったね響くんっ!」
『あ、わざわざそっちに言い直すんですね』
それから千絵さんと高校の時の思い出話をした。
実は千絵さんも、少し俺のことを男として見てた……とか。
それを聞いても、昔の熱がまた戻ってくることはなかった。
きっとそれは、千絵さんがしてる左手薬指の指輪だったり
俺がしてる、ペアのネックレスのせいだったりするのかな。
『俺、またこういう風に千絵さんの衣装着られるの、めっちゃ嬉しいです』
「私も!響くんがより一層輝く衣装作るからね!」
「『舞台、絶対成功させましょう』」
重なった未来
(あの時望んだ形じゃなくても)
(こうして一緒にいられること)
(素直に、嬉しく思う)
響と千絵はいいコンビ。